period 11
「またとんでもない魔物を討伐してきましたね……これDランク冒険者クラスの依頼になる筈だったのに……ちょっと上に相談してきますね」
そう言ってサーシァが奥に入っていくのを黙って見つめる2人の目には諦めの二文字が浮かんでいた。
まぁそうなるよな……ランウルフの変異種、スピードウルフを討伐、そしてあろうことかテイムまでしたからそれはもう此処に来るまで何れだけ好奇の目にさらされた。
俺が装備していたスピードコートやハルカの杖、アンナの短剣も存在感が半端なく、それとシューガの事が相まって住民からは尊敬の目や畏怖の眼差しで見られるは、プレイヤーからは装備を何処で手に入れたか聞かれるはどうやってシューガをテイムしたか聞かれるは……此処に来るまでが大変だった。
中には「装備を売ってくれ!」という非常識な奴までいた。
どの装備か指定されなかったので俺は了承し、そいつにはタックルラビットの装備一式を破格の4000Fで売ってやった。
正直自分でもえげつないと思う。アンナとハルカもドン引きしてたし……
詐欺紛いかも、とは思わないでもないが4000Fという値段で気づけよって話だ。どういうことだ! と叫んではいたがそう言うことだ俺は知らん。
礼節には礼節で無礼には無礼で対応するのがモットーなんです。厚かましいやつには容赦しねぇ!
と心のなかで叫びながら冒険者ギルドに来た。
そう言った連中を牽制出来るだろうという思惑も多少ある。
3人で受付で談笑しながら待っているとサーシァが男の人を連れて戻ってきた。
「どうもはじめまして、サーシァの上司を勤めているダンです。
今回昇華三柱様が討伐したスピードウルフのことで少々問題がありましてね。別室で話をさせて貰ってもいいですか?」
俺達は顔を見合わせて頷く。
「ありがとうございます。それでは此方へどうぞ」
案内された先は三回にある応接室の人部屋だった。冒険者がこの部屋に呼ばれるのはEランクでは異例のことらしい。
結構豪華な装飾がされた部屋の真ん中に机を囲んで置かれた椅子にダンさんに促されて座る。
「では本題に入りますが。
この度昇華三柱様が討伐、そしてテイムしたスピードウルフはランウルフの変異種だったわけですが。これ程の魔物をEランク冒険者が討伐、及びテイムした、となるとそれなら自分にも出来る! と粋がる連中が出てきてしまうのです。実際はテイムまでしたとなるとCランクでも難しいですけどね」
「成る程、そうすると冒険者の死亡率が上がる可能性が出てくると」
「確かにそういう人たちいそうだよね! プレイヤーの死に戻りも増えそうだな~」
「そうなんですよね。そこで、御三方にはDランクに上がって貰おうと思ったわけですが。それはそれで色んな不満が出るわけです……本当に此方の事情で申し訳ないがDランクのランクアップ試験を受けて頂けないでしょうか!」
そう言って頭を下げられる。
それ自体はいいけどそれにはレベルが足らなさそうな気がするんだよな~。
「取り敢えず話だけ聞かせてください。レベルが足りないと思ったら少し待って貰いたいので」
「もちろんです。3日程度なら待てるでしょう。ただ試験と合わせて7日程度が情報を止めれる最大でしょうね……そちらでも情報を止めてもらう前提ですが……」
そこまで聞いて素材の事が心配になってきた……ちゃんと買い取ってもらえるかな?
「それは大丈夫です! 滅多に手に入る素材じゃないので色をつけて買い取らせてもらいますよ!
それで、ランクアップ試験なのですが隣街セストまで私の護衛をしてもらいたいのです。なるべく黙っていてほしいですが説明しないと疑問を持たれると思いますから……実は救世者の隣街での受け入れを一週間後に控えていましてね、隣街への救世者の通行が許可せれるんですよ。
そのために此方から注意人物の名前と評判の良い人物の名前を私にいくんですが……今いる冒険者にDランクに以上のパーティーがいなくてですね。
それで貴殿方に白羽の矢が……」
「そうですか……ちょっと相談させてください。」
ダンさんに断ってパーティーチャットで相談し始める。
『さて、どうする?』
『う~ん、受けても良いけど街道に魔物が出るか、とか知りたいよね』
『それもですけど街道と行ったら盗賊もじゃないか?』
『納得です! 仮想敵の大体のレベルも分かると有りがたいです』
『じゃあそれ聞いてみて大丈夫そうか俺が決めてすぐ受けるか待ってもらうか答えれば良いか?』
『それで良いと思うよ!』
『賛成です』
『それじゃあ……』
「ダンさん、聞きたいことがあるんですけど街道には魔物や盗賊が出ますか?」
「そうですね。魔物はゴブリンやコボルトがたまに出ますね。平均レベルは27位です。ただ10体ほどの群れで出てくるのでそこに注意ですが。
盗賊は滅多に出ませんが出てもレベルが10前後です。それに dead or a live なので手加減の必要もありません」
「そうですか……隣街までの距離は?」
「大体馬車で一日半程ですね」
「依頼はどのような形になりますか? あと報酬も大体で良いので教えてくれると有り難いです」
「依頼は護衛ということになります。フィスタからセストの往復の護衛ですね。一応私も戦えますが、レベルが23なので……
特別クエストになるので報酬はスキルと70000F位ですかね。他に+αが付くかも知れませんがそれ以下にはならないはずです。迷惑料も入ってるので結構豪華になってますよ」
聞いた限りではこちらとしてもありがたいし、スキル2つを貰えるのは嬉しい。
「それじゃあ明後日にその依頼受けさせてもらいます」
何より他のプレイヤーより先を進めるのはゲーマーとして至上の喜びでもある。
アイテムを売り払ったあとダンさんにお礼を言われながら俺達はギルドをあとにした。
帰り道このままのレベルじゃちょっと心許ないという事になった。ははっ、明日は1日森でレベル上げだ!
ステータス
name [オウヤ]
年齢 [18]
種族 [ヒューマン]
JOB [影[R]]
称号 [認められた者][襲撃者][読書家][研究者]
レベル[26]ステータスポイント 7→0
HP 610/610 (レベル×20+VIT×6)
MP 320/320 (レベル×10+INT×4)
STR 23 (+5)
VIT 15
INT 15
DEX 24 (+4)
AGI 26 (+5)
スキル[11](+1)
短剣[N]61/100
察知[N]49/100
隠れ身[N]44/100
読書[N]18/100
鑑定[HN]30/300
投擲[HN]42/300
避ける[N]29/100
急所攻撃[HN]40/300
戦闘中治癒[R]14/1000
鍛冶[HN]8/300
徒手空拳[N]0/100
解放済みスキル
遠視[N] 採取[N]情報収集[HN] 高温耐性[HN]筋力強化[HN] 軽業[HN]new!
【軽業】解除条件:敵の攻撃をトリッキー且つ華麗な動きで避けながら攻撃を当てる。(数回)
体を動かすことに補正がかかる。




