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妻の条件

作者: あると

なんちゃって乙女ゲームの世界です。

この世界にバグが生じたのはご先祖様の影響!?

悪役令嬢は悪役を放棄しています。

ここは地球によく似た乙女ゲームの世界。

魔法はないが勇者が厳しい修行の果てに魔王を倒したことが伝説になっている世界。そんな世界の日本によく似た場所で、裕福な子息・令嬢が集まる華の宮学園がこの物語の舞台だ。


この学園の中心はエリートが集まる美形軍団な生徒会と風紀委員会である。

彼らの権力は教師をしのぐと言われ学園は彼らが治めているといえるだろう。


この世界では御三家と呼ばれる三つの家がトップに立ち、その下に五家・十家とつづく、彼らの立ち位置は王家と貴族のような身分関係であり、それは学園の中でも変わらなかった。そのため、御三家で唯一の在学生の高神 正明が生徒会長として学園をまとめていた。正明の婚約者は五家筆頭の家の令嬢、加賀美 響子で学園中の憧れである才色兼備な女性だ。


二人は理想のカップルとされていた。


だが、庶民出身で親の再婚により五家の一員になった少女、狭山 ゆかの転入ですべてが変わった。

限られた人しか近づけなかった生徒会が彼女を気に入り、彼女の逆ハーレムと化し、あこがれのまとが今では嘲笑のまとになっていることにも気づかず、遅い初恋に夢中になっているからだ。


正明は響子をないがしろにし、忠告をすれば逆にゆかをいじめるのかと逆上してなじる有り様だ。


生徒会の仕事も風紀が代わりにやっていることに気づかないほど、彼らは現状を見ることが出来なかった。そして、ゆかの取り巻きに響子は嫌われに嫌われていた。

もちろん大多数の生徒が白い目で見るのはゆかの取り巻きの方だったが、そんな中でとうとう生徒会長の高神 正明がゆかと彼女を取られて悔しげな取り巻きを引き連れて、学園の門前にて婚約者の加賀美 響子に最後通牒を告げた。


それがどちらに対しての最後通牒かと周囲の生徒が冷静に皮肉気に見ていることにも気づかずに…。


「響子、俺はゆかと結婚する。お前との婚約は破棄する」


腕にゆかを巻き付け、どや顔で言い放った俺様会長に周囲はどん引きだった。


「ごめんね!!正明が響子ちゃんの大切な人だってわかってたんだけど愛してるの!!!許してくれるよね♪」


ありありと響子を見下した目で言うゆかを熱がこもった目で見る取り巻き達に周囲はさらに引いた。


「本当に婚約を破棄なさるのね。わかりましたわ。両親に伝える為にも私との婚約を破棄して狭山様と婚約することと狭山様と正明様は私とはもう一切関わらないとこれに書いてくださいませ!狭山様もサインなさってね。婚約は契約なのですから。それを破棄するにも証拠が必要ですわ」

と彼らに引きながらもチャンスとばかりに複写式の紙に冷静に記入を求める響子だった。


「あっああ、これでいいか?」


すんなりと響子がうなづいたことに不審な気持ちもあるが、これまでも自分に不利益を与えずに支えてきた響子のため、サインをして渡す。


「ええ!ありがとうございます!はい、これ写しですわ。ほんとうに良かった!正明様、狭山様、お幸せにね」

とはればれと笑う響子に見とれ一瞬、自失した正明だった。


だが、腕に抱きついているゆかが「なによ、悪役のくせに」とつぶやきながらギュッと力を込めて腕を握りしめた為、悪役って?っと思いながらも、慌てて「ちょっとまてお前なんでそんなに喜んでいるんだ?」と問いかけた。


「えっ…まさか私が喜んであなたと婚約したと?断れなかっただけですのよ。

御三家の一つ、高神のお話を五家の1つでしかない我が家が断れると?元々、私には十家の別の方とのお話がありましたのよ。幼いながらもお互いに想いを通わせていました。でも…その方との婚約を結ぶ前にあなたとのお話があり…辛かったですが、父達も私達に申し訳ないと泣いてくれましたし、あなたのお母様の真規子様もあなた以外が務まるとは思えないからって頭を下げてくれましたの。大人が幼い私達に本気で対してくださったのですもの。私はその期待に応えると決めましたわ。

あの方を忘れ、妻としてあなたを支えるために高神家の厳しい修行に耐えてきました。滝行も、毎日の100回の素振も、携帯の盗聴もGPS付きのブレスレット…監視にも…100以上の高神の妻としての条件に合格するには3年もかかりました…

真規子様は自分は5年もかかったのだからあなたは優秀だと誉めて下さりましたが…五家の令嬢教育を受けていても辛い修行でしたわ。ですが、高神家の試練は確実に己を高めてくださいますわ!狭山様は一般家庭出身ですから私よりも大変だと思いますが、頑張って下さいませね。さあ!私もあのかたにもう一度振り向いて頂けるように頑張らなくては!!」


とキリリと決意表明をする響子を唖然として見つめる正明とゆかとその取り巻きたち。


それを、横目で見ながら『知らなかったのかしら高神家の妻の条件!!私達にとって高神家の妻は魅力的な立場ですが、あの条件をクリアするって伝説の魔王を倒す試練並みよねって恐怖の対象ですのにね。正明様を取り巻いていたのも愛人志望の方だけですのに。女性の教養や社交だけじゃなくてSP5人を1人で素手で倒さなくっちゃいけないって鬼のような条件もあるし。なによりあの厳しい監視よね、プライバシーなんてなくなるわよねー。狭山様もチャレンジャーだわー。よりによってあの高神家の妻の座を狙ったとはね~。』と、周囲の人間は正明達にも聞こえるようにささやきながら、厳しい条件を3年でクリアし、15歳の時には婚約者の地位にいた響子を畏敬の念が籠った目でみつめていた。


そこに「もう頑張らなくていいんだよ。僕の心はずっと君の物だ。」と響子の後ろから声をかけた人物がいる。


十家の筆頭の佐々木家長男の佐々木 良樹だ。


彼は、俺様な正明と違い、春の陽だまりのような少し地味な雰囲気だが優しげなイケメンとして人気のある風紀の副委員長だ。

見かけによらず武道にも優れている優等生であり、実は彼こそが、響子と婚約し損ねた相手でもあり幼馴染でもある人物だ。


彼と響子の関係は全く知られておらず2人で話す姿も目撃されたことはない。

その為、周囲も彼の登場と発言には驚きを隠せなかった。


「良樹様…本当ですの?まだ愛して下さっていましたの?」


涙ぐみながら問う響子を優しげに見つめる良樹。


「ああ、僕は3人兄弟だし家族も許してくれたから、ずっと君を思っていた。君はずっと監視されていたから近くには行けなかったけど、僕の想いはいくら高神家でも消せなかったよ。ずっと愛しているよ。響子ちゃん僕と結婚して下さい。」


正明たちを完全に無視し、彼女に跪きながら響子の手をとりプロポーズする良樹。


「良樹様、正明様を愛するためにこの6年頑張って来ました…でもあなたへの想いを消せなかった…ごめんなさい正明様…私は至らぬ婚約者でしたわ、狭山様とお幸せになってくださいませね。良樹様、色々と至らぬ私ですが、私と一生を共にして下さいませ。」と幸せそうに微笑む響子。


「本当に真面目な頑張り屋だね、響子ちゃん。幸せにするよ。」と呆然としている正明たちを無視して2人の世界に入る響子と良樹。


周囲も純愛だわ~良樹様なら響子様を幸せにして下さるわね、お似合いだわ、家に報告しなくっちゃなどと感動していた。それをひきつったような顔で見るひとりの男がいた。


そう彼こそは真実を知る男、加賀 正輝だった。


多くの一般生を証人に仕立てあげ、高神家に二人の仲に口を出させないようにする良樹は、契約書まで書かせた響子に負けず劣らず有能な男である。


実は10年以上も響子一筋であり虎視眈々と正明の隙を探す為に風紀に入り、唯一自分の本性を知る幼馴染で五家の一員の風紀委員長の加賀 正輝を隠れ蓑にして生徒会をさぐり、彼らの弱みや女性の好みなどをいろいろと調べあげたうえで、ここは乙女ゲームの世界で自分は生徒会を攻略するヒロインなのよと思い込んでいる電波な少女、狭山ゆかをさりげなく誘導して、生徒会を見事に彼女の取り巻きに仕立て上げた影の立役者だ。


純愛に見せかけストーカー気質の腹黒、それが加賀の胃痛の原因の佐々木 良樹だった。響子はそんな彼の本性に気づくことなく、加賀の胃が犠牲になっていることも知らずに幸せに生きていくことだろう。


蛇足~その後の彼ら~


ゆかは高神家の妻の条件を1つも合格できず、私がヒロインなのに!転生者なのよ!この世界はゲームのはずなのに変よ!やり直させなさいよ!と泣きわめくなど奇行が多く、その姿を見て目が覚めた取り巻き達からも見捨てられ精神病棟で過ごす事になる。


正明は逃した魚の大きさに気づき響子に言い寄ろうとするが、良樹により響子に気づかれる前に邪魔され、その間に響子が妊娠したため諦めた。


蛇足の蛇足~高神家の人々の裏話~


「しかし、本当に転生者なの!乙女ゲームなのよ!私はヒロインなのっていう奴が出たとはな。」

「4代前の当主様がいずれ、そういう女が出てきて高神家の嫁になろうとするかもしれないから、厳しい条件をクリアしないと妻にはなれないようにしなさいというから年々条件を増やしていって全部クリアなんてどんな超人か勇者だってくらいの条件にしといたおかげで変なのが嫁にならなくてよかった。」

「しかし、この条件全部クリアできるのなんて響子様以外いるのか?」

「さあ?」

「正明様、もう結婚できないんじゃね。」

「・・・」

「自業自得だが・・・そうだ!響子様が女の子を生んでくだされば、響子様のお子なら!!!」

「佐々木の長男が許すとはおもえんな・・・」

「はぁ・・・」

高神家の嫁取り談義は今日も続く・・・たぶん、ずっと・・・。



なぜ、良樹君がああなったのか・・・謎です。

彼は登場させずに響子ちゃんがのがんばるわ、私で終わらせる予定だったのに・・・加賀君にいたっては本当に突然でて来ました・・・

良樹君の行動にイタタタって胃をおさえている彼が可愛くてしょうがない。

しかし、外見がわかるの一人もいないって・・・乙女ゲームの美形のはずなのに・・・広い心でお許しください。

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[一言] ハッキリ言って、微妙?!  ありがち設定の詰め合わせだけど面白い、のに読みにくいし分かりにくい。  私自身も曾祖母がゲーム世界(主人公にとって現実)への転生者ってネタ書いてますが、活かすの…
[気になる点] 内容が文字の詰め込み過ぎで少し読みにくかったので、改行を増やすといいと思います。 [一言] 内容はとても好きです!
[気になる点] 私はその期待に答えると決めましたわ 応える [一言] 4代前の段階で乙女ゲームとか的確すぎるでしょうw
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