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「まぁ、いいか。それで、どうするんだい?」

桜宮言乃が逃げ出した後、リヴィネルはそう切り出した。

「心苦しいなら私が代わろうと思うが?」

「必要ないな」

しかし、その申し出を田仲は、否、大和は断定に近い形で拒否した。

「俺のリハビリにてめぇが入ってくんじゃねぇよ」

その物言いにきょとんとするリヴィネル。

彼女の知る大和とは違ったからだ。

瞬間、教室を形成する六つの平面すべてに紅が塗りたくられた。

「それよりも、早いとこ【ジン】と【キ】の二人と話がしたい」

(そうか、どこか急いているのだ)

漸く思い至った事柄にリヴィネルは愕然とした。

余裕綽々といった風体であった大和を急かさせる。

それは一体何なのだろうか。

「この地にいた異形は廃した。戻るぞ」

そういい、壁に何かを刻み付ける大和。

そこにはこう印されていた。

『安らかに眠れ【凶】ツキ』

その地にいた、【キョウ】を冠する異形、朔島ツキを労る物であることを知るものは現時点に置いて鷹ノ大和、ただ一人しかいなかった。





「お帰りなさい、鷹ノ先輩」

鷹ノ大和に対する出迎えは、昔から変わらない移動型拠点(アジト)と、これまた変わらない、【セン】を冠する異形だった。

「よう、【セン】。久し振りだな」

大和は気楽に手を挙げて応える。

「本当ですよ。僕はともかく匁先輩はもう大騒ぎで。止めるのに三人がかりでしたからね?」

困ったように、それでいてうれしそうな表情で、いかにもそこが定位置です、と言わんばかりに大和の左に立ち、左手を握る。

「【ジン】の野郎も少しは大人しくなればもう少し扱いや……強くなるのにな」

大和は口走りそうになった『扱い易い』と言う言葉をあわてて打ち消した。

「先輩は相変わらずです。また賑やかになりますね」

しかしそれでも彼の後輩、光千里(ヒカリチサト)にはしっかりと伝わったらしい。

ジト目で睨まれ思わず視線を泳がせる大和。

まったく、締まらない帰還であった。

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