第7話「風の試練と水輪の夢幻」
お昼前に起きて、特別ミッションをやる為に、ダンジョンに向けて準備する!
「ルゥ、準備は?」
『ばっちりだよ!』
ルゥより早起きして、ダライ殿の部下に混ざって少しだが、ビックホーン=ベールを狩ったから、準備運動はばっちりだ。
「では、ダライ殿、カナン殿、世話になったな。」
「達者でな、グレイリィの故郷の歌、素晴らしかった。ありがとう。」
「お二人ともお元気で。この先も、ドライアド様の幸あるお導きになることを。」
私とルゥは、トロイから少し離れた、ダンジョンである"茨の水没林"へと向かった。
このダンジョンに入るためには、ダライ殿から貰った、"ドライアドの緑石"が必要なのだ。
「このアイテム使うの、少しもったいないよね。」
『確かに、キラキラと綺麗な石だもんね!』
でも入らなければ、ダライ殿に勝った示しがつかない。
門の扉が開くと暗く生い茂った木々たちが一面に広がる。
クロイ=ダイルが大量におり、落ちることもなかなか進むことすらできない。下手したら噛みちぎられてしまう。
こいつの肉と皮は高額で買い取ってもらえるのだが。
『グレイリィ、任せて!広範囲魔法、光雷!!』
ルゥの風と水の合成魔法で、雷が作られて、広範囲攻撃ができる。
少し香ばしい匂いするが、ほぼ傷つけることなく、クロイ=ダイルをたおしてしまった。本当に頼もしい相棒だ。
「私も負けてらんない、氷下波!」
剣を振りかざし、魔力で冷たい波を起こし、広範囲クロイ=ダイルを氷漬けにする。
『あ、レベルが2上がったよ!』
ここのクロコ=ダイルの数もそれなりにあって、レベルもそこそこだったからな。
『なになに、防御スキル+10、魔法スキル+10、身体強化も上がってる!
やった!広範囲攻撃の嵐炎を覚えた!』
嵐炎は、とても激しい炎が相手に襲う。
「強そうなのを、授かったな。ルゥ!」
『そういうグレイリィも、ちゃっかり新技あるじゃん。酸流動ってなに。いかにも強そう。』
ははと軽笑した後、毒蜂の大軍には、ルゥの"氷柱炎弾"や新スキルの"嵐炎"が役に立ち。トレントの執拗い蔦が絡みついたりして、"冰龍斬"や"酸流動"が活躍したが、なかなか大変手強かった。
そして、"茨の水没り"の最深部についた。
ここまでで、私もルゥもレベルとスキルがついた。私は回復魔法の"真水光"の取得。ルゥは、"破壊冷光弾"を覚えた。
最深部の重い扉を押し開ける。
"我は、シルヴァリス。この水没林の護る者である。"
「さすが、このダンジョン。レベルが高い。」
『グレイリィとなら、大丈夫!
ボクも本気出す!!』
水の渦がルゥをまとって、元の蒼白竜…いや、進化した冰珀竜ルミナの姿へと大きい竜となかった。私はルゥの頼もしい背中に乗って、空中戦の戦いだ。
『零度瀧砲!』
初っ端から飛ばすね、ルゥ。
ルゥが氷魔法なら、私も氷魔法から行こう!
「蒼冷光線!!」
状態異常の凍結が狙えるかもだし。とはいえ、相手も強いからそう簡単には攻撃を与えられない。
「水爆連弾!」『氷柱炎弾!!』
隙をあたえないよう連続魔法攻撃力に切り替えてみるが。
ーーーシュフィン!!
風魔法のせいなのか、すばしっこくて、これも当たらない。
『それなら、蒼炎山流!!』
地面を沼れさせることで、火山流のように粘土化し、シルヴァリスの足元を硬め、相手の動きを封じる。
「さすが、ルゥ!!酸水爆連弾!!」
酸流動と水爆連弾の合わせ魔法で、高威力の水魔法を与えることが出来る。
『なにそれ、グレイリィ!いつのまに!?』
「ルゥばっかり、手柄させてられないもの」
植物は酸に弱いと、お祖母様の勉強で習ったわ、
これが高魔力のグレイリィだから、できることである。
シルヴァリスは、低温やけどによって、動けないでいる。
"お前、強い。なぜ。"
「当然よ、私は海の女神を目指すんだから。こんなところで負けてられないわ!」
"……そうか。"
ーーー完敗で当然だな。強い心は、無敵だからな。
「とどめよ!『蒼炎冰龍斬撃』!!」
このダンジョンで、1つの攻撃も差せない
圧倒的な記録だったと、後にトロイ属の間で騒ぎになっていたとか、なんとか。
シルヴァリスを倒したことによって、生い茂てる木々たちが収まり、日が差して、鳥の声が聞こえて、微かな潮が混じる香る風が吹いた。
『グレイリィ、やったね!』
「ルゥ、あなたとならどんな相手でも絶対勝てるわ!」
今度こそ、あの悲劇が2度とならないように。
何もできなかったら、 、何もしなかったと同じと後悔しないように。
私は、強くなる。
お兄様のように、SSランクになるのだから!
シルヴァリス戦の報酬は
私とルゥ、2レベルアップ。
SランクからS1ランクアップした。
私は、光魔法と水魔法が+15。
剣が魔法剣から、魔竜光剣へ道具進化。
ルゥは、風魔法と水魔法と炎魔法が+10。
広範囲魔法と連続魔法が威力10%⇒20%アップ
風の草笛があり、それを吹くと小魔法だけど、風魔法が使えるらしい。
シルヴァリスの花ブローチを付けると、小魔法の草魔法が使える。
「草笛とブローチは、私向けかな?」
シルヴァリスのシルバー色のマントは
空中移動の速度がアップする。
『これはボク向けだね!
どうかっこいい?』
シルバー色のマントを付けて、えっへんと言わんばかりのドヤ顔のルゥがや破壊級に可愛かった。
くぅー、くぅーとルゥの空腹音が鳴り止まない
『グレイリィ、お腹減った。』
ルゥは竜なのに、魔力使うと、エネルギー消費が激しいようだ。
「ユーハンで買った、干し果物でも食べて、元気だしてよ?」
『わー!もぐもぐ…普通の干し果物より甘くてジューシーだ!!』
私は魔力が溢れてしまうほどあるからな、ウンディーネの加護のおかげもあるけど、家族の中で1番魔力があったのは私だった。
測定用の魔法具を壊してしまったほどだ、成長する事に増えていった。最初はお姉様の魔法具で留めていたが、現在の魔法具では留めきれなくなってしまった。
それ以降はらリズの地下底の水洞窟に、誰にも悟られない結界と魔力の膜で護られている。
あの激しい戦いでも、崩れずに残ったくらいだ。
今もそこに、私の分身が私の魔力を浸透させて、溢れないように魔力を保っている。
トロイからダンジョンを討伐した後、その近場に大きな湖である、"ミスラリー"がこの綺麗で壮大な湖で夕日が沈むところが見えるのは、幸運だ。
寝所や火起こしをして、1晩過ごす準備をする。
さっきのダンジョンで討伐した、クロコ=ダイルの肉と、ポイズン=スネイクの肉で、串焼きだ。
『お肉だ!豪華だね!!』
干し果物を食べたのにも関わらず、まだ食い気があるようだ。
「ユーハンで、香草やスパイスも買ったからな。」
『だから、いろんな香りとか、味がするんだね!お肉パサパサしてないし、ふんわり柔らかくて、ジューシー!グレイリィは本当に料理上手だよね!』
私は別れ際でダライ殿に酒瓶をもらった。中身は芋酒で、最高に美味だ。
「今宵は美しい満月、まさに月見酒だな。」
『おいしい、おいしい』とずっと言いながら、ルゥがほとんど食べ尽くしていた。
焚き火は消えて、寝所から顔を出すと日が昇ろうとしていた。
『朝日、綺麗だなぁ!』
「そうだね。この先の旅の門出に、ぴったりだな。」
寝所や焚き火の片付けを済ませて、ダンジョンで得た、サファイヤのリングをの前にある、人物像の指にはめる。
ミスラリーの奥から、なにかが跳ねる、水音が聞こえる。そこにはドルフィンがこちらへ向かってきている。
このドルフィンに乗ると、スピリットに行くことが出来るのだ。
ミスラリーには、さまざまな逸話がある。
ミスラリーをドルフィンで抜けると、幸福の水輪が得られるとか、自然の水滴が傷を癒すとか、不死身になれるとか、いろいろある。
幻想的な場所とかには、そういう話があるものだ。
小さい精霊の光が2つ、私とルゥになにか魔法か何かをかけたような…
『あ、新スキルで"幸福の水輪"。だって!迷信とかじゃなかったんだね!』
「そうみたいね。へぇ、幸福が結びつきが小確率、か。いいスキルがついたな。」
この幻想のような国には、なにがあり
なにを得られるか、今から楽しみで胸がいっぱいだ。
ドルフィンの泳ぐスピードが上がった。
……To be continued
このストーリーまで、読んで頂きまして
誠にありがとうございます。
ここまでのグレイリィとルゥの旅路を楽しんで頂けたでしょうか?
茨の水没林を攻略し、次は精霊の街"スピリット"へドルフィンの背に乗って向かいます。スピリットではどんな旅が待っているでしょうか。
次回の8話と9話投稿は、8月22日(金)20時に投稿です。今後も気に入って、読んでいただけるように
頑張りますので。よろしくお願い致します!
作者・ユメウラ