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紅糸島の奇祭〜カースト底辺の俺を嫌って、イケメンに擦り寄る許嫁よ、さようなら!これから俺は、島の生き神様に贄として愛されひたすら甘々の日々を送ります〜  作者: 東音
第三章 少年は生き神様と遊ぶ

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祭り①〜真人とネッシー?〜


「では、満を持して、生き神様に捧げる祭り『第一回あかり祭』を開催したいと思います!!

 普段から、島の皆の為を守り、慈しんで下さっている生き神様に、今日は目一杯楽しんで頂きたいと思います!」


「皆さん。私の為に祭りを企画、準備、開催して下さってありがとうございます…!

 お祭り、初めてなのでドキドキしていますが、今日は楽しませて頂きますね。」


 俺が高らかに宣言すると、祭り会場(広い和室)に集まったスタッフや、先代贄、菊婆が温かく見守る中、あかりは、緊張した面持ちで恥ずかしそうに挨拶をし、大きな拍手が沸き起こった。


 俺は、紐がついていて、首からかけられるようになっているスタンプカードをあかりに差し出した。


「あかり。これは、祭りのスタンプカードだ。好きなブースから回って行って、全部スタンプが集められたら、いい事が起こるんで楽しみにしててくれよ?」


「…!(例のサプライズとやらね?)え、えー、いい事って何だろう?た、楽しみだわー!」

 あかりは、スタンプカードを受け取りながら、俺にぎこちない微笑みを向けた。


 緊張してるのかな?くぅ…!そんなあかりの表情も可愛いぜっ…!


「おうっ。楽しみにしててくれよ?」


「「……。(生き神様、棒読みになってらっしゃいます…。幸い真人はドバカ(ドアホ)なので気付いてはおりませんが…。)」」


「キーとナー。お前達もよかったら参加してくれよな?」


 俺は何だか難しい顔をしているキーとナーにもスタンプカードを渡した。


「「えっ!儂らも回るのか?」」


「ああ。あかりだけだと気を遣っちゃいそうだし、その方が気兼ねなく参加してもらえるだろ?」


 驚くキー&ナーにそう説明すると、あかりがパアッと顔を輝かせた。


「わぁっ。キーちゃん、ナーちゃんが一緒に回ってくれるなら心強いわ!」


「「は、はぁ…。生き神様がそうおっしゃられるのなら…。」」


 キーとナーは戸惑い気味に互いにちらりと顔を見合わせると、あかりに返事をした。


「では、スタッフの方は、準備をお願いします!」

「「「「了解しました。」」」」

「「了解したぞ。」」


 俺がスタッフに声をかけるとスタッフの人はそれぞれの出し物のブースへ散って行った。


「あかり。スタンプカードに載ってる出し物の中でまずどこへ回りたいか、決めて?」


「え、えーと、えーと。ヨーヨー釣りに、パズルに…。出し物たくさんあるのねぇ…。キーちゃん、ナーちゃん。どうしようかしら?」


 スタンプカードの中を眺めながら悩むあかりに相談され、キーとナーも腕組みをして真剣に考え込んでいた。


「う〜む。最初は、簡単にクリア出来そうなものの方がいいですかね…。」

「そうですね…。??このネッシー叩きとは何でしょうか?」


「!そうね。気になるわ…。真人、最初はこれにしてもいいかしら?」

「…!!了っ解!!」


 あかりの選択に俺はテンション高く返事をし、サムズアップをした。


「ネッシー叩きは、俺のブースなんだ。あかり、こっち来て?」

「…!そうなのね?それは楽しみだわ!!」


「真人のブースか…。心配しかないの…。」

「どうなることやら…。」


 ネッシー叩きコーナーと書かれた三角折りの紙と、出し物に使う道具が置かれた

 会議室テーブルの一角に、俺はあかりと文句たらたらのキーとナーを誘導した。


       

         *

         *

「真人?一体これは…??」


 あかりは、会議室テーブルの上に置かれた工作物ー上にいくつも穴が開いている水色の大きめのダンボール箱を見て目を丸くした。


「穴ぼこだらけのへんてこりんな工作物じゃの。」

「絵の具の塗り方も雑で、不格好じゃの…?これを鑑賞して、批判しろという事か?」


 キー&ナーは、俺の作ったモグラ叩きセットにいいたい放題いいながら首を捻った。


「不格好で悪かったな。どうせ、美術はいつも2だよ!これでもちゃんと動くように何度も改良したんだからな。そういう叩くじゃなくて!

 この箱の穴の中のどれかから、湖に住むと言われる幻の怪竜、ネッシーが出て来るから、それをこのハンマーで物理的に叩くって言う遊びだよ。」


 俺が、机の下のダンボールに入れていたピコピコハンマーを取り出し、穴のところを叩いてみせると…。


「へえ…。」

「「ほお…。」」


 あかりと精霊達は感心したように大きく頷いた。


「現実にいる生き物を叩くわけじゃないからてあかりにも抵抗ないだろ?


「え、ええ…。まぁ、そうね。モグラさん叩くのよりはいいかしら?」


「じゃあ、今からやってみようか?最初は誰からやる?」


 あかりにも、了承を得たところで、三人に問いかけて見ると…。


「わ、私はキーちゃんナーちゃんの遊ぶ様子を見させてもらってからでもいいかしら?」


 初めてのモグラ(ネッシー)叩きに緊張気味のあかりは、尻込みをするように、キーとナーの後ろに回った。


「じゃ、キーとナーどっち?」


 双子の精霊は一瞬迷うように顔を見合わせ…。


「よし、儂が行こう!」


「OK!じゃあ、ナー!」


 名乗りを挙げたナーに、ハンマーを渡すと、俺は再度説明をした。


「じゃあ、今から2分間、この穴のどれかから、ネッシーが出て来るから、引っ込む前にタイミングよくハンマーで叩いてくれ。叩いた数が多い程スコアが高いから頑張ってくれ。」


「相分かった!たくさん叩けばよいのだな?」

 赤髪を揺らし頷くと、赤色の瞳に真剣な宿し、ハンマーを構えた。


「ナー頑張れ!」

「ナーちゃん頑張って!」


「では、始め!!」


 キーとあかりの声援の飛ぶ中、俺はかけ声と共にタイマーをしかけると、箱の後ろにある紐を一つ引いた。


 その途端目鼻のついたクリーム色のネッシーが右側から2番目の穴から飛び出し…!


「むむっ?これは、真人の◯◯◯を模したものか?なんと破廉恥な!!」

「は、はあっ?!//」


 ドゴン!!

 ナーの怒りのハンマーが、クリーム色のそれにクリティカルヒットした。


「な、生き神様にそのような遊びをさせようとするとはけしからん!!」

「えっ!ネッシーって、真人の真人だったの?!//」


 キーは怒り、あかりは顔を赤らめ、口元を両手で押さえている。


「ち、違うって!!湖に住む幻の生き物って言ってんだろ?」


「しかし、色も形もそれっぽいではないか!」

「い、いやそれは緑の絵の具が足りなかったから、その色にしただけで…。」


「そう言われて見れば大きさも…?」


「ちょっ…!あかり??//俺、そんなに小さくはないだろ??違うって!!」


 二人に言われ、ショックを受けつつ弁解&否定する俺だったが…。


「おい。次早くしてくれぃ!」


「お、おう。◯◯◯じゃなくて、ネッシーだからな!ナー!!」


 とんでもない事を言い出したナーを睨みながら訂正し、その後もネッシー叩きを続け…。


 ピョコッ!ドゴン!

 ピョコピョコッ!!ガズン!ドガン!


 ナーは悉くネッシーにクリティカルヒットを与え続けた。


「やれやれ〜!ナー!真人の◯◯◯を打ち倒せぇ!!」


「やめてあげて!ナーちゃん!真人の真人がぁっっ!!まだ後継者も作っていないのにぃっ!!」

「だから、そこの二人も!違うっつってんだろが!!」


 ピョコッ

「それぇ!!」

 ドグン!!

「(う、ううっ…!||||)」


 ピピピッ♪ピピピピピピッッ♪


 応援するキーと涙を流して止めようとするあかりの声に、俺まで感化されてナーの振り下ろすハンマーに、下半身の一部が痛むような気持ちになってきたところでタイムアップとなった。


「ナ、ナーのスコア…ひゃ、150 …。百発百中の満点!」

「やったぁ…!!」


 俺がげんなりとスコアを読み上げる中、ナーがガッツポーズを取った。


「やったな、ナー!次は儂の攻撃じゃあ!」

「すごいけど、もう、真人の真人を攻撃するのはやめてぇ…!!」

「だからさぁ…!!」


「あ、あのぅ…。」

「「「「??」」」」

「羽坂さん…??」


 俺達がわちゃわちゃしながら、キーに交代しようとした時、隣のパズルブース担当の、あかりの世話係をしている若い女の子のスタッフさん=羽坂さん(あかりの呼びかけで、今初めて名前が判明した。)が、恐る恐る声をかけてきた。


「わ、私…、精霊の姿は見えないし、声も聞こえないので何が起こってるのか正確には分からないんですが、状況から察するに、聞くに耐えないので、これ、よかったら、使って下さい。もう少し、ネッシーに似た外観になると思うので…。」


 困ったような赤い顔で、羽坂さんが俺に差し出して来たのは、緑色のペットボトルカバー数枚だった。


「あ、あざっす。どうもすみませんでした…。」

「は、羽坂さん、ごめんなさい…。」


 俺とあかりの会話だけでも充分若い女性にはセクハラだった事に気付いた俺とあかりは深い反省の元、彼女に深く頭を下げた。そして…。


「「む、娘よ、悪かったの…。」」


 キーとナーがあかり以外に謝る姿を俺は初めて見たのだった。

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