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僕の彼女は二次元   作者: 松武 重男
4/8

僕の彼女は二次元 4



4話



朝…

「おはよーございます秀平さん」チャイ・レーが僕を起こしてくれる。


「おはよ、チャイ・レー」これから毎日チャイ・レーが起こしてくれる、自分の好きな人が起こしてくれるなんて嬉しい。


「朝ごはんの支度ができました。」


「ありがとう…」


!!!


もしかして、また大量のご飯が…


慌てて、起き上がりリビングに向かうと


「良かった~…一人分のご飯だ」

トーストと目玉焼きだけ…でも、それだけでも嬉しい。

「いただきます」


やっぱり朝食は良い…っていうか、朝起きて理想な女の子に朝食を作ってもらうなんて嬉しいでしょ。


嬉しさと美味しい食事でゆっくりと噛み締めながら朝食をする…このまま、ずっと僕のそばにいて世話をしてくれる。



幸せだ…。



会社通勤…少しニヤケてるのが回りには変に思われるかも…


いつもと変わらない服装で通勤…いつもと違うのは、弁当を持って歩く、意外とチャイ・レーの作った唐揚げは美味しかった。


余計作ったのは冷蔵庫に入れたり、弁当に詰めることにした…こうして弁当を持っていくと、何か愛妻弁当みたいでちょっと嬉しい。


ビルに入りエレベーターの所に相染さんが

「おはよ、羽貫くん…」


「おはよ…」相染さんから先に声をかけられて、恥ずかしながらも軽く会釈する。


「あれ…バック持ってきて珍しいね。」


「あっこれ…弁当…」


「あぁ~彼女だぁ~」相染さんはニコッと笑い僕に人差し指を向けて言う。


「ちっ、違うよ…母さん…母さんが、家に来てて、弁当を作ってくれてたんだ」なぜ、そんな嘘をついてしまったか、ついとっさに言ってしまった。

でも、流石にチャイ・レーって言う僕の作ったロボって言ってしまえば、大変な事になるよな…。


「お母さんなんだ…良かった。」


「うん…。」良かったって…これって、やっぱり俺の事が…


「エレベーターが来てるわよ、乗らないの?」


「はっ、はい乗ります。」なんだこの胸の踊るような感じは…


二人っきりのエレベーターの中何か喋った方が良いのかも…何か…


「あっ、羽貫くん…今度の週末暇?」


えっ!ええええ~!来たぁ~!もしかして、デートの誘い!!!

あっ、どうしよっチャイ・レーの事もあるし…

と出てくる言葉が無く「ちょと…」

と一言、都合の言い返事「ちょと…」と言うと何とかごまかせる。


「だよね…突然だよね、実はね岩瀬くんから合コンに誘われてね…ちょっと、不安で羽貫くんもどうかなって…」


「合コン…」行きたいけど僕みたいのが行ったら、場の空気が悪くなりそうだし…


『ポーン』


エレベーターの音が鳴る、5階でエレベーターが止まって扉が開いた。


「ごめん、羽貫くん、着いたから…もし気が変わったら教えて…返事は後で…仕事頑張ってね!」と手を振りエレベーターから出ていった。


合コンかぁ~でも僕にはチャイ・レーがいるからな。





午前の仕事が終わり昼となり、いつもならコンビニの弁当とか、近くの食堂とかで昼を食べるのに、今日は弁当…チャイ・レーが多めに作ってくれた唐揚げとご飯、それだけ。

それだけでも、作ってくれたのには間違いない。

茶色い唐揚げ…


「弁当…珍しいね羽貫、自分で作ってきたのか?あぁ~それとも、どっかの弁当屋の唐揚げを詰め直したのか?」

冷やかしに来たのか岩瀬はニヤケながらぼくの側に来た。


「かっ、母さんが作ってくれた唐揚げだよ…多く作ってくれたのを持ってきただけだよ…」


「だよな、彼女が作ってくれたなんて言ったら、地球がひっくり返ってしまうよ」と言い笑った。


まっ、ある意味彼女だけど…。


「あっ、そうだ!近いうち合コンあるけど…母さんが来ているから無理か!」半笑いして僕の弁当の中の唐揚げを一つ詰まんで口に入れ「おっ、旨いね!」と言って去っていった。


合コンか…あっ!相染さんに合コンの誘いの返事、「気が変わったら教えて…」て言われたけど、どうも岩瀬がいるのが苦手、黙ってれば返事をしなくても当日来ないことが分かれば参加してないことが分かるか、そうだな黙ってよ…。




18時…終わった~

さて、帰るか…


いつも通りに仕事を終えて、エレベーターに向かう…待てよ、エレベーターに乗って相染さんに会ってしまったら、断る言い訳が出来てない…かと言って会わないまま、一階に着くかも知れない、エレベーター5基…5分の1いや、階段を使うか…でも、普段健康のために階段を使っているって…じゃあエレベーターだ!


とにかく、早く着いたエレベーターに乗り一階を目指す。


9.8.7.6.5.4.3…無事に一階に着いて扉が開く、「ふっ…」会わずにすんだ


急いで会社を出ようと、少し早歩きで出口に向かう


「あっ、羽貫君…」僕の後ろから、相染さんの声。


僕は振り向き「あっ、相染さん…どうも」そのあとの言葉が出ない、言葉どころか合コンの返事もしてない、返事をしないで帰るところだったのに、エレベーターに乗るか乗らないかと悩まずに、さっさと帰ってしまえば会わなかったかも…


「羽貫君も帰るところ?」


「うん、あっ…合コン…の」


同じ方向を歩き出口に方に、相染さんも帰るのかな?

「羽貫君ごめん、無理に誘って、あの合コンの話は無かったことにして。」


「えっ、無かったことに?」


「今日、岩瀬君に断った。」


「そっ、そうなんだ…」

僕は断る理由を探していたのに相染さんが「断った。」と言ってくれたことに安心した。


「だって、岩瀬君とはただの同期なだけでそんなに仲良くないし、それに…あのグイグイ来る人、私苦手」


ああ、何だかわかるあの、「グイグイ」と言うか図々しい態度俺も苦手

「何だかわかる…僕も苦手」


「でしょ!」

やや下を向いて歩く僕の顔を、キラリとした見開いた目を覗き込んだ



ドキッ!



かっ、可愛…


相染さんが覗き込んだ事で、出口の自動ドアが開いた。


「羽貫君もこっちの方向だよね…」


「あっ、うん…」


「私も今日、仕事終わったから一緒に帰ろっと。」


この、心臓のドキドキ…相染さんにバレてないよな、


「岩瀬君、お金持ちでしょ…お金持ちが嫌いとかでなく、何か…自慢?そんな感じがして…私の家は普通の家庭てね…お父さんは役職の付いてないサラリーマン、お母さんはパートでショッピングのレジをしてるの…私は両親に迷惑をかけたくないから、自分でバイトをして貯めたお金で大学を卒業したし、この会社も入るまで何社か落ちてようやく決まって、今にいるの…岩瀬君がお父さんの力でこの会社に入ったって聞いたとき、お金持ちの気持ちが分からなくなって…少し距離を開けたくなっちゃった。」


そうなんだ…相染さんは、どころかの企業のお嬢様じゃなかったんだ。

それどころか、苦労してこの会社に入って努力してきたんだ…僕が創造していた相染さんと、現実の相染さんのギャップがありすぎて、何だかもっと身近な存在に思えた。


「羽貫君の家はどんな家庭?」


「えっ…普通?って言うか、僕の家も父さんはサラリーマンで母さんは会社の事務員だよ…僕はゲームが好きでどうしてもプログラマーになりたくって勉強して、自費で短大に入って、今の会社に入ったよ」


「そうなんだ…私達似てるね、環境が…」


そんな話をしながら、街の中歩く僕達は恋人同士に見えるのかな…デートって、こんな感じかな。


「私ね…」


二人の間、手を繋ごうとすると繋げる距離間、その時に「私ね…」と少し間のある言葉の後が、僕には何だか期待出来そうで…


「私ね…今の仕事が好きなんだ…」



そっ、そっち?


「まだ30才、両親はもう30才なんだからって、結婚の話をしてくるけど私はまだ30才、この仕事が好きでまだ頑張って続けたい、恋愛とか結婚は、まだまだだと思っているの」


相染さんみたいな人がキャリアウーマンって言うのかな?

何だか、同期なんだけど、綺麗で優しく、皆にも好かれていて、頼もしくもあって羨ましい。


「あっ、羽貫君!」


突然…びっくりする。


「あのね、私…友達がそんなにいないの、地元だと高校とかの友達はいるけど、職場での友達は誰もいないの…だって同期の女子は殆ど辞めちゃったでしょ、その後の連絡は途絶えてしまってるし、色々と話をする相手なんて今いないの…だから、お願いしていい?」



友達…そう言えば、僕も友達っていなかった、学生時代はいつもゲームとかアニメで友達と遊んだ事って殆どなかった、女の人との友達の関係でどう言うこと何だろう…友達の先ってあるのかな…


「ダメかな…」


イカン!…色々変な事を考えてしまった!


「こっ、こちらこそお願いします!」


相染さんの白い歯が丸見えの様な笑みで

「ありがとー嬉し!」


かっ、可愛い…ものすごく胸がギュットした。

この感覚って…


「どうしたの?」


相染さんがしたから覗き込で、目をパチパチしながら僕を見た。


「いや、女性の友達は初めてだから、ちょっと緊張って言うか、戸惑っちゃって…何か照れるね」

と、笑って誤魔化した。





5話に続く


















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