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第六話 大浴槽

どうやら第二試験は本来なら相当時間が掛かるらしく、最低でも一週間は仮寮住まいらしい。

 何でも、早く終わった人の特典でとても広い部屋にお風呂入り放題、朝、昼、晩のご飯がバイキング形式でとても美味しいとジェフが在校生に聞いて教えてくれた。


しかし、今の私達には食事は眼中にない。今はあの試験で疲れた身体を癒したいという感情しか頭に無いのだ。

 というわけで私達は脱衣所まで来ていた。

「ふふ〜ん、ひっさしぶりの〜おっ風呂〜」

 小雪は、鼻歌を歌いながら服を脱いでいく。私はこういう場所は初めてなので小雪が服を脱いで純白の肌を晒しているのを見て自分はどうするべきなのか分からず、立ち尽くす。

「ん?どうしたの?」

「……私も一緒に入っていいですか?」

「当然だよ!ささ、脱ぎ脱ぎしましょ」

 半強制的に服を全部脱がされ、全裸にさせられた私は恥ずかしそうに大事な部分のみ隠した。


「あれ?下着は履いてないの?」

「え〜と、下着ってなんですか?」

「えっ?」

「えっ?」

 何の事か分からずキョトンとする。

「えええええええっ!?今までノーパンだったのーーー!?」

「えっ、何だってノーパンだって、おい誰が」

「ジェフ、今すぐ死にたい?」

 隣の脱衣所からジェフの声が聞こえると小雪はにこっと笑う。

「……すまん」

「さー、今の話を忘れようねジェフ〜?さもないと、ね?」

 満面の笑みで隣の脱衣所に聞こえるように言う。

「ひっ!?わわわ、忘れました、もう忘れましたァァ!!」

 ガスガスと頭を打ち付ける音が聞こえる…

「えっと、大丈夫なの?」

「あははっ、大丈夫だよ」

 とてつもなく怖い、今までに合ったどんな生き物よりも怖い気がする。


 この人に逆らっては駄目だと、本能的に察した。

「それで、ノーパンというのなんですか?」

「スカート履いてるんだから、いやズボンもなんだけど、風吹いたら見えちゃうでしょ!だからそのためのやつだよ」

「確かに!見えちゃいますね。みんなそのあたりどうしているのか気になっていたんですけど、なるほどそんな便利なものがあったんですね!」

新しい知識を得たリテシアは衣服に入っているメモ帳を取り出し書き留めた。



「それじゃあ、お風呂入ろっか?いえ、お風呂探検隊行きましょ〜」

 よく分からない探検隊に入れられたけど小雪に引っ張ってもらったおかげで無事にシャワーまで来られた。

(ここまでくれば後は洗うだけ……まずは髪の毛を……)


「ていっ!」

「ひゃっ!?ちょっ、何して……」

「ここかな〜、ここが良いのかな?」

「キャッ!?何してるん……ですかぁ」

「………最高か、ここは」

 隣から聞こえる女子二人の声、間近で見たかったと後悔する。

 この日俺は女で生まれたかったと初めて思った。


「ちょっ……あははっ!そこだめ、くすぐったい〜」

「もっとやっちゃうよ〜」

 女子の二人が今何をやっているのかははっきりは分からないがおそらく髪を洗っている。

 いや、くすぐったい?と言う事は身体を洗っている。

 小雪がリテシアの身体をとなるとくすぐったいとは、わき腹辺りか?いやこの展開、胸?いや首筋か、分からんが取り敢えず最高だ。



「はい、終わったよ、えへへ、めっちゃ楽しかったよ」

「もう、小雪たら」

 私は小雪に身体を洗ってもらった。その途中腹部を指の腹で優しく撫でられて、笑ってしまったりしたが、何とか終わった。

 これでようやく、湯船に浸かれる。


「しかし、まぁ、今日は色々あったね」

 小雪は髪の毛を洗いながら言った。

「うん、そうだね」

「今日はとっても楽しかったね。ずっと忘れないようにしないと」

「うん、私も忘れない」

 小雪が洗い終わったのか、湯船に入りピッタリ密着する。


「そういえば、リテシアって髪長いよね、それに相まってかとっても綺麗な銀色の髪、私の黒い髪とは大違い」

 私は小雪に容姿を褒められて恥ずかしそうに湯船に沈む。


「プハっ!そんなこと無いと思う、黒い髪のほうが私は好きだし、それに服装選びもセンスあるし」

「え〜、そんなことないと思うけどな〜」

そう言われ、リテシアは最初に出会った時のことを思い返す 。

「ありますよ。最初に出会った時から綺麗で輝いてた」

「輝いてたのはリテシアの方だと思うよ?あんなにボロボロの服着ててもちゃんと素体の良さが出てたし」

「……そんなことは」

自分は何もかも劣っている。親に言われた言葉が深く根付いているのかリテシアは否定した。


「ふふっ、遠慮しないの!」

 グイグイと近寄り、リテシアの鼻頭に人差し指を押し当てる。


「遠慮なんてしてないけど、少し嬉しい」

「褒められたら素直に受けとった方がいいよ?気分も楽になるし」

小雪はそう言って壁に寄りかかり色気づいたような声をあげた。

「確かにそうだね!あぁ〜、今日1日で色んなことが学べちゃいました」

「リテリテは可愛いから、もっと大好きになっちゃうよ〜」

 ガバッと手を広げ私に抱きつく。

「ふぎゅ!?ちゅ、ちゅぶれますー!」



 本当に大変だった。あの後私は数分抱きつかれた後の脱衣所も大変だった。

 パンツを穿いてとうるさく、いつものボロボロの服を取り上げられ小雪のアイテムボックスの中にある、

 服に着替えさせられた。


「最悪です……とっても走りづらいです」

「もう、文句言わないの!可愛いんだから」

 小雪はニッコリと笑う。本当に可愛いのだ。


 アイテムボックスに入っていた物は本当は私が着たくて買った物、しかし一度リテリテに着せたらめっちゃ可愛く、可憐な少女になった。白いワンピースがここまで似合う人が居るなんて……


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