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ソロに戻る?

 乗合馬車の待ち時間で明日からの予定を話し合う。

「明日からはがっつりこもらないと収入減っちゃうかもな」

 軽い討伐品を振って言う


「アタシもそうだな、ソロの効率がよかったからな」

 ジノの言葉にルカが問いかける。

「ソロのほうが効率いいってうらやましいな、つまりここでも火力が過剰ってことでしょう。

 それとさ、お願いなんだけど明日ここに来るときわたしたちも一緒に来ていいかな?」

 ルカは首を振って続ける。


「ううん。パーティーを組むってことじゃなくて、声の届く近さでばらばらに討伐しようってこと、2人で効率落ちるなら、4人じゃ組めないもんね。

 でもでも、パーティー組んでくれるなら2人なら大歓迎だよ。4人向けの依頼をするときとか考えておいて」

 と言ってルカはウインクする。


 ん?

「それだ!」

 突然声を上げたおれにルカが目を丸くする。

「どうしたのパーティーのこと?」

「いや、そうじゃなくて逆だよ、いやいやパーティーのことはありがたいし、明日の近くで討伐も賛成だよ。ジノもいいよな」

 ジノが頷き返す。


「逆っていうのは火力が過剰なら分ければいいし、組んでるからって同じ敵を相手にしなくていいってところさだよ」

 ジノが首をかしげる。

「明日はおれとジノはばらばらに別の敵を探して倒すんだ。でもそれぞれ声の届く範囲にいて危険な時には駆けつけることができる。笛とかあってもいいな、のろしは時間がかかるから魔法を上に打ち上げて救難信号にするとか」

 おれにはできないけどな。


「それ、わたしたちもまぜてね。ねえ、なんかあれみたいねパーティー合同のあれ」

「レイド?」

「そうレイド。明日は3パーティー合同レイドを行います。参加者は笛を持参のこと」

 ルカがド忘れしてミサがフォローするのは2人のいつものパターンなのか!?


 馬車に乗り町に戻る。イゴウたちと一緒になるかと思ったが彼らは泊まり込みのようだ。

 ギルドで納品をし、証拠はないと前置きしたうえでイゴウたちの行動とたくらみを報告。

 女性冒険者や新人たちに注意してもらうように伝えた。

「報告ありがとうございます、こちらでも調査してみます」

 2つ向こうのカウンターではメルエがこっちを見て不満顔をしていた。

 やっぱりメルエに報告した方が良かったか? 受付のお姉さんにメルエたちとも情報の共有をしてもらうように伝えてみんなの元に戻る。

「26匹の7000で182000。1人91000だよ。思っていたより多かったけど装備の支払いにちょっと足りないな。武器屋のほうはまた今度でいいや」

 とぼやくと、ジノに聞きとがめられた。


「うおおぃ。貸すって言ったろ。ルカとミサもこいつに金貸してやんなよ」

 ルカとミサも寄ってくる。

「いいよー。リーダーに上納金」

「パーティーメンバーとして当然ですね」

 と言って2人とも100銅貨をくれる。

「これで関係切れないね」

「返金は認めませんよ」

 100で将来を縛られるおれ。


「ジュース代かよ、おれの将来・・・」

 パーティー組むのはいやじゃないけど。

 結局3人に合計30000借りて防具屋と武器屋の支払いを済ませる。

 硬革鎧セットに16000、剣の鞘に9000。

 元の皮鎧は使用者の体形のくせがついていたので下取りは拒否された。

 ナックルガード付きの剣の鞘は盾としても使いやすいように前面に板を張り剣と鞘が1度に両方つかめるようにしてもらった。盾として使うのに刀身に損傷を出さないためだ。

「宿はどこ? 合わせましょうよ」

 ルカが提案し旅情亭に集まることになった。


 4人部屋を取ろうかとルカが言って、えっ。となったが女性3人で4人部屋を使おうかという話だった。もちろんおれは別ですわかってます。

 そうですよね、3人部屋ってあまりないですよねー。

 3人で4人部屋はお得というほどでもなかったので、ジノとおれは昨日と同じ1人部屋、ルカとミサは2人部屋に泊まることになった。


 翌朝、準備を整え、乗合馬車で湿原に着いたところ昨日の2人組がいた。

「よう、あんたら。昨日は悪かったな。俺たちは帰るけど、野営でパンケーキを作ったのが余ったから食べてくれよ」

 そう言って紙の箱を押し付けてくる。本当にお詫びかもしれないので受け取っておいて愛想笑いをする。

 すると2人組は馬車に乗ってひそひそ話してヒッヒッと笑っているようだった。

 スイーツおっさんめ。


 馬車が過ぎ去った後相談をした。

「あやしくない?」

「毒とかさすがにないだろうけど材料が古くて腹をこわすとかはあるかもな」

 ルカの疑いに同意する。


「お詫びだったとしても食べる気はしねえなぁ」

「毒じゃなくてもなにか入ってそう」

 ジノもミサも食べる気はないっと。

「ネズミとかモンスターに食べさせて調べるにしてもスライムは毒でも平気そうだな」

 とりあえず保留にして後でギルドに調べてもらうことにした。

 昨日考えたように3つに分かれて索敵を行う。


 おれとジノが前衛の右翼と左翼、ルカとミサが後衛の中央の陣形で大きな三角形を形作る。

 それぞれが見えたり見えなかったりするくらいの距離を取りながら湿原を大きく1周りする予定だ。


 スライムとの遭遇頻度は昨日と同じくらい、分散している分効率は2倍になっているはず、ルカたちのため中央付近のスライムは見逃しているが、それでも効率が落ちるというほどではない。1周半ほどで昼飯のため集合する。


 昼食ではメルエから討伐大好きといわれたことをからかわれる。

「でもやっぱりおれは討伐大好き人間だったな。生きてるって感じがするよ」

「アタシはそのまま、殺してるって感じだな」

 おれに続いてジノが殺伐としたことを言う。

「わたしは、稼いでるって感じる」

「わたくしはなんでしょう、成長している感じでしょうか」

 ルカとミサも少し考えて感想を言う。最初は生活費のためだったがこれからも無理のない範囲で続けていこうかなとその時思った。


「2週目から同じところ回ってるからスライム減ってるよね。ルートを変えてらせん状に少しづつ真ん中に近づくようにしないか?」

 おれの提案に皆が賛成する。少し気になったので聞いてみた。

「おれとジノは効率2倍になっているけどルカとミサは2人組のままでいいの?効率変わらないんじゃないの?」

「わたしたちは火力は足りてるけど魔力の回復しながら狩っているから今くらいがちょうどいいの。気にしないでいいよ」

 ルカが答える。魔力か・・・

「2人はどんな属性?何となくはわかるけど」

「わぁ、言ってなかったね。わたしは土曜の人族ルカ。よろしくね!」

 ルカが答え、ミサがフードを下ろしてゆるく編み込んだ金髪を持ち上げて特徴的な耳を見せる。

「わたくしは水曜のエルフ、ミサ。秘密というほどではないけどあまり目立たないようにしているの」

「火曜のドワーフ、ジノだ」

「人族アル・・・無所属・・・」


 自分から話題を振るとか何やってんだおれ。

「無所属って属性のアレ?器用貧ぼ、ゴホン。控えめな万能の人よね」

 器用貧乏はすぐに出ましたねルカさん。

「そのアレでさ魔法も使ったことがないからそのうち何かに染まるみたいなことも言われたんだけど・・・」

 可能性を示唆するおれ。


「使ったことがないの?子供のころに遊びで唱えたりもしなかった?」

 どうやら普通の子供は大人の魔法にあこがれて魔法の発動をイメージしながら呪文を唱えた経験があるらしい。その経験と自分の適性が大人になるころに自分の属性を決めるということだ。

「おれは最近までの記憶がなくて、子供のころ何をしてたとかわからない。

 気付いた時に剣を持っていたから元々そういう職種なんじゃないかってことで冒険者をやっているんだけど」

「ここのギルドに知り合いがいないならほかの町とか国から来たのかしら?1人で?」

 不思議ねーとルカがつぶやきミサが考えこむ。


「そこは追々考えるとして、魔法ってどうやって覚えるの?」

 どうにもならないことは置いといて、気になることを尋ねる。

「最初は人の魔法を見て真似るところからで、魔力が体の中をぐるぐる回るようになったらスクロールや魔道具を使って覚えるのが普通ね、簡単でなのは『深月』、『着火』、『落水』、『養木』、『護金』、『流土』、『浅日』。

 このどれかを見せてもらって自分で発動させようとしてみるの。

 できれば7種類全部試してみて自分に合ったものを集中的に鍛えると自分の属性が決まる感じかしら、じゃあ見てて」

 ミサは自分の水袋の水をルカの水袋に移して魔法を唱えた。

『魔法落水』

 するとミサの手のひらから水が流れ出て水袋に溜まっていく、細長いミサの指がちょっとエッチに感じたのは秘密だ。


「これをまねする感じね、適性があれば魔力の流れを感じるようになるから道具屋さんで落水のスクロールを買えば覚えられるわ。スクロールや魔道具を使うときは『魔方陣落水』と唱えればいいわ」

「落水を覚えるか挫折するかしたら、流土を見せるから声かけてね。得意は土だけど、わたしもミサも基本の7種なら全部使えるから」


 ミサに続いてルカも教えてくれる。挫折はしたくないな。

「火が得意な人は氷も得意で火曜。水が得意な人は雷も得意で水曜。土が得意で風も得意なら土曜。この3種で後衛だと攻撃型魔法使いとか黒魔とか言われるわ」

 饒舌なミサとか珍しい。


「日曜は光。月曜は闇でこの2つは白魔または回復魔法とか補助魔法とか呼ばれるの。そして金曜が金属で鍛冶魔法。木曜が植物で木工、裁縫魔法。この属性で魔法メインの人は戦闘職じゃなくて生産職に多くなるわね」

 しゃべりすぎて疲れたのかミサがルカにタッチする。


「と言っても前衛ならどの属性でも戦えるし、攻撃魔法は全属性にあるし、水、土、木にも回復魔法はあるのよ。 だから得意なものを伸ばすのが一番いいの」

 と言ってルカは笑う。

 頷いて立ち上がる。目の前で魔法を見るとそれほど、ありえない。という感じはしなかった。ありえる、というかできる! 体の中でおれの魔力が動き始めた気がした。


 らせん状の移動は効率をさらに上げた。湿原の中央に近づくほどスライムの数が増えルカとミサの魔力回復が間に合わないほどだった。

 一度集まってジノとミサ、おれとルカでペアを組んで前衛が2回倒している間に魔力を回復し後衛が1回倒すというパターンに落ち着いた。


 夕方に集合したときの戦果は午前11、午後30と昨日の3倍近い成果だった。後衛組はその半分になるが満足しているようだった。全部を集めて4等分してもいいけどジノの分も減るし、ミサとルカも遠慮するだろうから今回はこのままでいいか。


 ダンジョン入り口の西側にあった大きな岩の陰に野営所を設定し、夕食を取る。この効率なら日帰りでも良かったね、とか午後に組んだペアでダンジョン潜ってみようか、とか話しながら時間を過ごした。報酬の4等分の話もジノは賛成してくれたが、ルカとミサには反対された。

 夜直はルカとミサが前半、おれとジノが後半となりおれたちは先に眠りについた。

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