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二つ目の依頼

「君たちはここのところオークをよく狩っていると聞いている。

 まあそれだけが原因じゃあないんだが、どうもオークが減っているようでな、もともとオークの生息地だったところにゴブリンが住み着くようになっているんだ」

 乱獲しすぎた? オーク絶滅の危機でギルド長に怒られる?


「君たちも知っているだろうが町や街道はゴブリンの生息地に囲まれるように造られている。商人や旅人も最低限の護衛で足りるし畑を守るにも簡単な柵でいい」

 街道でリザードマンが襲って来たり畑の柵がオークに壊されたりしたらいやだものな。


「弱い割にはゴブリンの生息地が他のモンスターに奪われることもあまりない。おそらく繁殖力の強さと他のモンスターから食料にされない事。肉の不味さのせいだろう」

 ゴブリンは自らを不味くすることで身を守っている。毒を持った生物と同じような適応をしているのだろう。


「オークの生息地がゴブリンに浸食されたことで街道を通しやすいエリアが出来た。そのエリアの向こう側もまたゴブリンの生息地なんだよ」

 ギルド長が地図を広げて説明する。


「へー、街道を作るんですか。どこにつながるんですか?」

「つながる先は開拓村だ、そしてその場所の選定は今からやる調査にかかっている。その調査が君たちへの依頼だな」


 ん?


「条件はアクセムから徒歩で1日以内。これは街道のあるなしで変わってくるので大体アクセムとノースタンの間ぐらいの距離でいい。通り道はゴブリンの生息地を通り平坦な方がいいな、候補地からは井戸を掘った時に水が出るのが好ましいが、そこから先は第二次以降の調査に任せればいいだろう」


 んん?


「あのー、その2つは同時進行なんですか? つけ狙われながら遠征というのはちょっと・・・」

 どちらかだけならそれほど危険もないが襲撃を受ける前提で野営をするのは遠慮したいなー。


「ああ、もちろんどちらかを片付けてからで構わない。この場合は竜毒持ちのリザードマンからだな。そもそも開拓村を開いて街道を通すなんてのは10年スパンの大事業だ。急かしたりはせんよ」

 ギルド長は手をひらひらさせて急ぎではないと言う。


「話を通しておきたかっただけだからな。君らは実力もあるし、ギルド職員からの情報だとどうやら輸送や格納に隠しだねがあるのだろう」

 ばれてーら。肉の輸送にしろ一月閉じ込められたことにしても、何らかの収納手段があることは見抜かれているんだな。


「そのことの詮索はせんよ、ただ遠征して開拓村の場所の選定をするなら君らが向いていると思っただけだ」

 秘密は詮索しないが能力は発揮してもらいたいということか。

「そう言うことなら」

 仲間たちを見てからおれは答えた。

「まずリザードマンの依頼だけ受けてそれが片付いたらもう一つの方を進めます」


 ギルド長は頷いてメルエに目配せをする。

「はい、じゃあリザードマンの方依頼しちゃいましょうね。開拓村の方は疑問がありましたら何でも聞いてください。それではギルド長、あとは進めておきますので」

 メルエに頷いてギルド長は席を立つ。

「それではよろしく頼むよ。わたしに用があったらいつでも言ってくれ、それでは」


 ギルド長が部屋を出るとメルエが口を開く。

「どうでした? 列に並ばせて待たせちゃいましたけど、どの道ギルド長を呼ばないといけないのでわざわざ呼びにいかなかったんです。

 私これでも人気があるので特別扱いしたら余計なトラブルが起きるかもしれないでしょ」


 そういうことだったのか。

「列に並ぶのは問題ないですよ。確かに変なトラブルが起きるよりその方が良かったです」

 でしょー、と言いながらメルエが依頼書を出す。


「竜毒持ちのリザードマン。単独行動で拠点は不明、強さは暫定Bランク。

 Aランクを倒したことのあるあなたたちなら楽勝ね」

「楽勝かはわからないけど単独だったんですか? 以前は群れで行動してたんですけど」


「遭遇したパーティーの情報ではそうね。環境が違うからか、あなたたちにこだわっているのが、そいつだけなのかわからないけどね」

「それならちょっと楽かもしれませんね」

 前回は迫りくる後続とぬかるんだ足元で条件が悪かったからな。


「はいっ。じゃあ受けつけました。これから防具屋よね、向こうで待ち合わせましょ。

 ギルド長も見たがるかもしれないから声かけてみるわね」

「はい。では後で」

 ギルドを出て家に向かう。

 家で馬車を出して赤い線入りのワイバーンを積み込むと時間を見計らって防具屋に向かった。


「いらっしゃいませ。アルさんですね、メルエさんとギルド長もいらしてますよ」

 店員の人に挨拶する。親方たちの甥の人がいたのは武器屋だったからこっちの人の名前はわからない。


「親方も裏で待っていますので案内しますね」

「はい、馬車もあるので回り込める道を教えてください」


 店員さんの案内で防具屋の裏側にワイバーンを運ぶ。

 待ち構えていたメルエとギルド長、防具屋の親方の前で馬車からシートごとワイバーンを引きずり下ろす。


「ほう、浸食はほどほどだな。これなら理性も残っていたんじゃないか?

 竜毒持ちのワイバーンは凶暴化してぼろぼろになるまで戦うか、不利を悟ったら逃げ出すかだから素材としてこれだけ使える部分が多いのは大したものだな」

 ギルド長がワイバーンを見回して感心している。


「そうですね、逃げかけてましたね」

 釣り上げたからな。釣り針がなければ逃げられていた。

「毒腺も残っているな。扱いには気を付けるようにな」

 尻尾の先のトゲにつながるワイバーンの毒袋。強力らしいけど毒は扱いが難しいから死蔵だな。


「肉は灰にするまで焼いて埋めるかスライムにでも処理させればいいだろう。間違えて市場に出回らないようにしてくれ」

 処理の指示をミヅチを見ながらギルド長がする。

「その辺はこちらでやっておこう。皮と牙と爪、翼の皮膜と毒腺あたりの使わなかったものは素材として買い取って残りの廃棄物は処理費用をのっけてまとめて請求書に入れとくぜ」

 防具屋の親方ミヅチが処理を請け負ってギルド長も満足したのか立ち去ろうとした。


 と思ったら振り返って。

「不要になった素材はあとでギルドが買い取るかもしれんから報告してくれ」

 そうメルエに指示して帰っていった。


「さて、何をどれだけ作るかな?

 丈夫で柔らかいから鎧にするよりはローブか服だな。あとはマントか」

 親方のミヅチに聞かれる。


「ローブか、ローブならミサので一着。服は防御を固めたいジノに鎧の下に着てもらうか?」

「そう? いいかしら」

「アタシはありがたいぞ」

 みんなで集まって相談する。現状ジノとミサ以外の装備はしばらくの間更新の必要がないくらい充実している。性能に関しては。


 おれの見た目は何とかしたい。そのうちなんとかしたい・・・

 マントか。

「おれもマント作ってもらっていい?」

「いいよ」

「あ、見た目だね」

 ハルにはばれているしみんなも異論はない。そのことをミヅチに伝えて見積もりをしてもらう。


「それでいいのか? 素材が結構余るから引き取る分との相殺で請求分はほとんどなさそうだな」

「それはいいですね。でも今はお金あるからもう少し作ってもいいのかな」

 おれが言うとメルエが少し慌てたように。

「ちょ、ちょっと待って。お金は大切よ、予定してないものを無理に作ることはないんじゃないかしら?」

 メルエの動揺を不振がっていると。


「あのね。ギルド長が引き取りのこと、わざわざ言ってたじゃない?

 あれ、内心はすごーく欲しがってると思うのよ。できれば多めに譲ってほしいなーなんてね」

 メルエはバツが悪そうに白状して素材の引き取りを申し出る。


「そう言うことなら構いませんよ。おれたちはさっきの3つで」

「助かるわー。ホントはこういうことで口出ししちゃいけないからこのことはナイショね」

 ギルド長も自分の言動が原因で買い取りをねじ込んだと知ったら照れくさいだろうな。

 内緒にするべきなのはそっちの方かもしれない。


 注文も終わったら見積もり兼引き取りの証明の紙をもらって防具屋から出る。

 メルエともそこで別れた。

「防具は終わり。武器のメンテもまだいいよね」

「午後はどうする? 休み?」

 とりあえずの予定はないな。


「休みかな、オーク狩りに行ってもいいけど減ってるんだよね。明日からどうしようか」

「オーク狩ったらいいんじゃないかしら。街道を作るならオークの領域は減らした方がいいでしょうし」

 そうか、街道を作るんだな。まあ先のことだけどオーク狩りは遠慮しなくてもいいってことか。


「オークはうまいな。肉は柔らかくて味は濃厚、内臓から皮まで余すとこなく食えるからな。あいつら食べられるために生きてるな」

 襲われる人はそれどころじゃないけどな。


「そうだよねー、ワイバーンもミノタウロスもおいしかったけどちょっと固くてパサパサしてるよね」

 ハルもお気に入りのようだ。トラウマはどこ行った?

 脂肪分の割合かな。


「ミノタウロスは鍛えすぎなんだよ。ビールとかエールの搾りかすを与えてだらだらさせて育てればサシの入った高い肉になるんじゃないかな」

「面白いわね。ミノタウロスの迷宮はそのための牧場だったのかもね」

「迷宮を所有しているわけじゃないし飼料代がものすごいことになりそうだよね。

 こっちの人の好みも霜降りより赤身の方が好きかもしれない」


「霜降り? 冷たいの?」

「霜が降っているように見えるんだよ。肉の間に細かく脂身が入っていてね」

「うえー。脂っこくない?」

 霜降りの肉はこっちではあんまり人気は出なそうだ。

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