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初戦はゴブリン

よろしくお願いします

 薄暗い森の中、自分の息がうるさい。


 一方でモンスターの息遣いが止まる。初めて倒したモンスターは緑色の肌をした人型、一般的にゴブリンと呼ばれるものだった。

「やっと、一匹」

 依頼内容は3匹のゴブリンの討伐、2匹から3匹で連れ立っているものは避け、はぐれたゴブリンを後ろから襲ったのがついさっきのことだった。

「奇襲で1匹、気づかれてからもう一匹は倒さないとやっていけないな」

 今度からは2匹で組んでいるものを倒せるようにならなければ。


 アドバイスをくれたギルドのお姉さんは1日3匹は倒せないと冒険者としてやっていけないと言っていた。1匹倒すことはできる、でも1匹で活動している奴がこんなに少ないとは思わなかった。

「帰るか」

 もう空は薄暗い、これから先狩られるのはこちらの方だ、まして一人の冒険者なんてカモでしかない、暗くなる前に必ず帰るようにとも言われていた。


 街に戻り冒険者ギルドに入る。

 受付の列に並び順番が来ると見知った顔が笑顔を向けてくれる。


「おかえりなさい、戦えた?」

 ギルドのお姉さんは営業スマイルに少しだけホッとした雰囲気を含ませて話しかけてくれる。

「はい、1匹だけ、相手選んでたら時間かかっちゃって」

 そう言い、討伐確認部位の右足首を見せる、討伐依頼は3匹からなので渡しても仕方ない。

「うん、ごくろうさま。約束どおり夕食と一泊を『貸し』てあげる」

 メモに走り書きをしてくれる、ギルドのお姉さんとの約束はゴブリンを1匹倒すこと。このメモを宿屋に見せれば1泊『借り』で泊まれる。


「ありがとう、でも返せるのちょっとかかるかもしれない」

「今日のペースならね。それでもいいけどわたしはそうならないと思うなあ」

 お姉さんは思わせぶりに言う・・なんでそう思うんだろう?


「今日はありがとうございました」

 後ろも並んでいるので頭を下げて立ち去る。

 宿屋でメモを見せて、食事にありつく、多めの食事を食べつくし、水を飲み干せば疲れと満腹による眠気に襲われ部屋に着くなり突っ伏した。


 日の出を告げる鐘の音で目が覚める、あれが日の出を告げる一の鐘だろう。

「体が軽い、何かが違う」

 筋肉痛も覚悟していたのに自分の体が羽のように軽いことに気が付いた。

 宿の受付で鍵を返し、朝食としてパンと水をもらう。

「いってらっしゃい、がんばりな」

 と掛けられた声に会釈して宿を出る。


「昨日は昼からだったから、今日は昨日と合計で3匹いける。午前、午後1匹ずつで依頼達成だ」

 そう呟き町を出た。


 森に着くと索敵開始、早速2匹組を発見。スルーも考えたがはぐれたゴブリンの少なさからいつかは戦う相手になる、入り口も近いことだし練習するには最適だ。

 2体の後方に回り込み、片方の首を切りつけ、流れた剣を再加速してもう一方の肩に当てる、気づかれた後も有利に立ち回るために欲張った。

「来い!」

 首に切りつけた方は手ごたえがあったので倒れたまま動かない。

 生き残った方は向き直ったものの肩を抑えて呆然としている、このまま攻め切るため踏み込んだ。

 細い棍棒を持った右手はだらりとたれ、左手は右肩を押さえている、隙だらけの左わき腹を切りつけてまた下がる。

「ギギィ」

 叫びだしそうだったので喉を突く、ヒューと空気の漏れた音を残して2体目も絶命した。


「いける、2匹ならいける、2匹組ならいくらでもいるし狩り放題だ!」

 小さくガッツポーズをし昨日から続いていた不安感を振り払い、討伐確認部位を集めては一息つく。

「一日3匹でギリギリ生活できるから、それ以上は稼げるだけ稼いで装備買わなくちゃな」

 おれの装備は剣一本、ゴブリンと大して変わらない状態だ、休憩を終えたおれは立ち上がった。


 午前中がむしゃらにゴブリンを借り、街に戻ったおれを出迎えてくれたのはすべてわかっているかのような顔のギルドのお姉さんだった。


「やっぱりね。やるとおもってたわ」

 ギルドのカウンターで袋詰めのゴブリンの討伐確認部位を見たお姉さんは頷いて言った。

「一晩寝たら体が軽かったでしょう?冒険者を始められるかどうかっていうのはまず一人で一匹倒せるかどうかなのよ」


 袋の中身を取り出し一目見ては後ろの箱にポイポイ投げていく、手慣れた手つきは一滴の血も余計に飛ばさない、袋に残った血を箱の中に落とし終えるとお姉さんは振り返る。

「ゴブリン16匹、3体討伐2セットと10体討伐1セットね、このメモをそこの会計カウンターに渡して報酬を受け取ってね」

「はい、あと借りた宿代はどこで返せば・・・」

「そうね、3体討伐を1セット削ってもいいけど・・・今回はおごってあげる。感謝してね」

「あ、ありがとうございます」

 頭を下げ、会計カウンターで報酬をもらう。3体討伐で3000X2、10体討伐で1万1000。10体まとめると3体で納品するより少し高くなる。金額の単位は日本の円とほぼ同じ価値だ。

 合計1万7000から今日の夜と明日の二日分の宿代6000を払い宿屋で昼食後、装備を探しに出かけた。

「1万で盾だな、1000で剣のメンテしてまた狩ろう」

 盾の専門店で見回ってみたが目移りしてしまい、1万で買えないようなものばかり気になってしまった。

「1万ならバックラー1択か、防ぐだけで精いっぱいになりそうだな」

 目移りしたのは胸から腰まで守れそうなカイトシールド、首から下を守り切るタワーシールドだがタワーシールドは重すぎるし高すぎる。カイトシールドは細身のもので体の厚みくらい、バックラーが下に延びて下が尖っている感じだ。お値段7万也


「貯めるか、その間盾なしか・・・いやバックラー持とう。安全第一!」

 予定通り1万でバックラーを買い1000でメンテだ、早速武器屋に向かう。

「らっしゃい、おうメンテかそこに置きな」

 メンテナンスの依頼は多いのだろう、剣を見せただけでメンテと見抜かれた。

 剣を渡し、おやじが確認する。

「骨も切ってないみたいだな、新品同様だ、自分で油でも塗っとけ」

 と、返される。


「おかしいな、骨も切りましたよ。もしかしてゴブリンの骨って柔らかいんですか?」

 聞かれた親父は首をかしげた。

「そんなことはねえな、ただ軟骨やら関節やらうまく切れば刃こぼれもしない。たまたまだろう、自分で見て刃こぼれがあるようなら持ってきな、それまでは問題なしだ」

 ニカッと笑うおやじに笑い返し店を出る。1000節約できたがそれでも疑問は残る。

「結構骨に当たってたけどな、たまたまって何十回も起こるか?」

 予備の武器もほしいけど予算不足だ、ゴブリンの棍棒を現地調達すればいいだろう。

 行くか。


 相変わらず2匹組は楽勝、奇襲で1匹、剣を切り返しもう1匹の首を狙えばまともに向き合うことすらなくなった。

「バックラー買ったのに・・・」

 バックラーを活用するため、3匹集団を奇襲、2匹をサクサク倒し無傷の1匹と向き合う。突然襲われ3匹中2匹を秒殺され呆然としているようだ。

 サイズ的に小さい子供のようなこともありおびえているところを見ると急に罪悪感に襲われる。

 それをスキと見たのか凶暴な顔に変わったゴブリンは襲い掛かってくる。

 逆に凶暴で助かる、一方的すぎるのも考え物だ。


 棍棒をバックラーでさばく、バックラーを使いこなすために隙だらけの相手だが攻撃はしない、2回、3回と受けたが同じ場所に同じ攻撃しかしない。練習にもならないのでザックリ切りつけて倒す。

「攻撃してくる相手におれが罪悪感感じちゃダメだろ、そんな余裕もないのに」

 討伐確認部位を回収し次に向かう、4匹以上の集団は見ないので、遭遇時に即殺で昨日に比べたらかなり効率は上がる。


「よろしくお願いしまーす」

 ギルドで討伐袋を差し出す、袋いっぱいに入ったゴブリンの討伐確認部位、右足首だ。

「ふーん。今日また行くとはおもわなかったわ。疲れてないの?」

「少しは疲れましたけど、このくらいなら大丈夫です」

「うん、明日討伐に行く前か後に時間作ってもらえないかな? ちょっとした手続きしてもらいたいの」

「わかりました、昼過ぎくらいに寄ります」

 頷いて昼過ぎに寄ることを約束する。

「よろしくねー」

 討伐数は31匹、10匹討伐1万1000X3とおごられた宿代のお返しというわけではないが報酬なしで1匹を回収してもらった。

「宿は支払い済み、3万3千稼いだから明日4万稼げばカイトシールドが買えるけど、帽子、手袋、靴あたりでもいいな」

 ろくに使わずバックラーを手放すのが悔しいのもあり他の装備を考える、鎧はアップグレードしたら10万を超えるから次の鎧の当たりを付けてから同系列の革を使ったこまごまとした装備品を揃えてもいい。


「ともかく今日は終わりだ。ごはんだー」

「寝る前にお湯貰おうかな、すぐに寝そうだけど寝なかったら頼もう」

 だが睡魔には勝てず食事のあと汚れたまま寝た。

 ザックリと区切りまで書いてからまとめて修正を入れる予定です。

 気になる所は指摘してくれると助かります。


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