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宝箱

作者: まさやん

スーッと自動ドアが開く

それと同時にイキイキとした店員の声が聞こえる。

「いらっしゃいませ!」若い女店員だった。

散歩の帰り道、夕焼けが綺麗な時間帯にいつものパン屋に立ち寄る。ドアのすぐ横にあるトングと少し傷のついたトレーを手に取った俺は、軽快な足取りで歌詞が曖昧な曲を鼻歌で歌いながら、宝のある場所まで急ぐ。見つけた。そこには沢山の宝箱が等間隔に並べられていた。俺はこの宝箱の中でダントツのプックプクに膨らんだテッカテカの宝箱をトングで掴み、慣れた動作でトレーの上に置く。俺は一流のトレジャーハンターなので、こんなくらいは朝飯前だ。そんなことを思いながらレジに並ぶ。会計を済まし、すぐ横の公園のベンチに座る。袋から取り出したアツアツの宝箱を半分に割る。

その瞬間、リンゴの香りが漂う。宝箱の中には予想通り、溢れんばかりの金銀財宝がキラキラと光り輝いている。そっと舌鼓を打ったのち、勢い良く宝箱にかぶりつく。生地のサクっとした音と同時に口の中にはコインが一枚、二枚と流れ込んでくる。なんとも言えないこのコインのちょうどいい歯応えに満足しながら、二口目。三口目。一度食べ出したら止まらなかった。あっという間に時間が過ぎていく。気がつくとあたりはすっかり暗くなっていた。不思議とこの宝箱を食べた後は明日も頑張ろうという気持ちになれる。夜空に漂う数個の星が今日も綺麗だった。

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