人間ですが、なにか~
わしはこの太陽系の中で最も美しく、生物が盛んで、地球という者だ。
一番大きい木星の兄上でも、わしと比べる余地があるまい。
わしの偉大さに気づき、月という下僕はついている。毎日一生懸命で、わしが楽しむように尽くして、ご苦労だ。
わしの敬意にふさわしいものはたった一人だ。
それは太陽の母上様である。
わしの誕生日以来、わしをずっと面倒を見て、日光を与えてくれて、愛するべきの方だ。母上様がいなければ、わしは現在の豊かで誰であっても欲しがるこの身体を得られなかっただろう。
しかし、最近偉大なるわしは一つの悩みがある。
退屈だ。
この世の中で何兆年も過ごしてきたわしはいつの間に退屈という概念を味わってしまった。
兄弟姉妹とあまり話せないことがいつも通りで、母上様も無言で無償の愛をくれることが感謝しているが、少しずつこのわしの中で虚無感が広がっていく。
下僕の月くんもネタを使い切れているようだ。
わしの身体の上に這いずっている生き物たちも指定されたプログラムに従って、動いていて、予測しやすい。
わしは斬新な何かが欲しい。
刺激的な何かを求める。
わしの野望が叶えるのは難しすぎるだろうか。
その瞬間、わしは肌の上に変わった感覚が走った。
覗き込むと、見たことないサルたちが変なものを操作しながら、わしが自慢する肌を掘ったり、刈ったりしているようだ。
馬鹿な連中だ。
わしの肌を傷つくには百兆年早いわ。
しかし、面白そうから、とりあえず観察することにした。
普段のサルより、こいつらはつやつやで、秩序を意識しながら行動していると見える。
植物や岩のかけらを組み合わせ、新しい形をするものを利用し、生活を楽にする。
わしが火災など時々投げ込んだ災害もマネできるらしい。
なかなかできるやつらではないか。
でも数がまだ少ないだけ。
そうだ。
数が少なかったら、数が増えるまでに待ったらいい。
冬眠することは久々だし。
よっし。
五千年ぐらい寝ようか。
。。。
。。。
は~
眠っ。
どのぐらい経過しただろうか。
あっ、そのサルたちはどうだったんだろう。
わしがいない間に、新しい出来事でもできたか。
。。。
なんてこと。
どうして、わしの美しい肌にあっちこっちでハゲになったんだああ!
人の肌を勝手に汚して、何のつもりだ?
それで、この硬そうな高い物体は何?新しい樹木?しかし、なんでサルどもは入ったり出たりしているんだ。
サルたちは何を着ているんだ?さっきほど、ほぼ全裸なのに。
そして、その半猿半猫のやつは何者だ?化け物?
落ち着け、わしよ。
これは夢だ。
五千年だけで、サルの分際はこんなに荒らしたはずがない。
起きっ、いたっいたっ!!
おい、やめろ!人の身体に穴を開けるもんじゃない!!!
くっそ。
油断したわ。
このままじゃだめだ。
わしは何かしないと。
とりあえず一人と話し合ってみよう。
「おい、サル。そうお前だ。無視すんな!」
「あっ、幻想ではない。なんだ頭の中の声?ちなみに、サルじゃなくて、人間だ」
「人間?なんだそれ、サルの族?それはどうでもいいから、とにかく地球をこれ以上壊す活動を直ちに中止してください」
「できねえよ、おっさんの声。俺のような人間は地球にある資源を開拓しないと死ぬ生き物だ。開拓できるように、ちょっとだけ壊す必要があるから、ゆるして」
「開拓しないと死ぬ?」
「死ぬ」
「壊さずにいられない?」
「いられない」
「人間はなんと恐るべしの生き物だ」
「人間ですが、なにか~」
「わかった。情報くれてありがとう。さよなら」
「オッケー。またきてね、頭の声爺よ」
あいつによると、この人間という種族は壊すことが本能らしい。
けど、わしは放置するとダメ。
仕方ないか。
片づけよう。
普通の災害は効かなさそうから、今回は強めに。
わかった、ウイルスを作って投げ込もう。