表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/42

空城隕石 六月下旬 日曜日3


魔法少女ミルキー・ドレイン(仮)のお陰で、戦いは有利に進んだ。

カブトムシ人間一号と二号(俺命名)のうち一号は現在ミルキーの魔法で動けない。

トリモチのような白い固まりで拘束された一号は、必死にまとわり付いている拘束をはずそうともがいているが、力任せでは効果がない。

妖力で火などを出せば拘束をはずせるかもしれないが、二号と戦いながら分かったのは、カブトムシ人間は、属性を持たせた妖力を出すのが苦手のようだ。

一応は元々はカブトムシ? から変化したと思われる妖力なので、土や水の妖力を出すことはできても、火は無理のようだ。

まあ、使える妖魔もいるだろうけど。

少なくても、コイツらは使えないので、目の前にいる二号との戦闘に集中する。

二号の戦闘スタイルは、移動砲台だろう。

純粋に協力な妖力を凝縮させたエネルギー弾。

一号に劣るが、移動速度と防御力は高く、接近せん能力も並み以上だ。


「せぁっ!!」

『GI!』


俺の飛ばす気弾の性能は並みだ。接近戦は師匠の教えのお陰で、並み以上にやれると思っているが、射撃は上手くもなければ、下手でもない。

師匠曰く、俺は射撃もそこそこ才能があるようだ。

だが、師匠も射撃戦は力任せに気の弾丸、いや気の塊を投げつける戦い方しか出来ない為、射撃は退魔師協会の教本など独学だった。


「ちっ、連射速度を重視してきたか!」


二号は先ほどまで、両手でエネルギー弾を撃ってきていたが、味方の一号が動けず、二対一になったおかげで、二号は片手で溜めなしのエネルギー弾を俺とミルキーに撃ってくる。


溜めがなくてもなかなかの威力、ボーリングの玉を投げつけられるのと同じくらいの力がありそうだ。

気での身体能力を強化しているので、数発くらいなら、当たっても平気だろうが、顔などに当たれば、大きな隙になる。

そうなれば、強引にでも隙を作った俺かミルキーを沈めに来るはずだ。

回避性能はミルキーが高く、魔法少女特有の魔法で攻撃力も防御力も俺よりもミルキーが上だ。


そうなると、倒しやすいのは俺だ。

先ほどから、二号のミルキーへの攻撃は徐々に牽制だけになりかけている。


俺を倒して、一対一に持ち込むつもりだろう。

けど、そうはさせない。

切り札を使わなくても、戦えることを証明するためにも、


「ぬぅおおおぉぉっ!!」

『GI?!』


俺は雄叫びを上げながら、二号へ突撃する。

それに合わせて、ミルキーも敵に接近する。

驚いた二号は、一瞬俺とミルキーのどちらを攻撃するか迷い、ミルキーを近づけさせないように攻撃をした。


俺の攻撃力なら、近づかれても回避から反撃へ繋げられると思ったのだろう。

なので、俺は更に加速して二号へ突撃する。

ミルキーは二号の射撃に近づけない。

二号は、俺にも気を配りながら、ミルキーへの攻撃に集中している。


「食らえ!」


二号への左側面への気弾を放つ。

当然、二号は最小限の回避を行う。

俺は更に近づく、二号は焦ったのか連射速度を上げて、左手から妖力のエネルギー弾を撃ってくる。


「甘い!」


連射速度を上げれば、それだけエネルギーの集束が甘くなる。

二号が俺のどこを狙うかも、読みやすくなる。

距離があるときは、顔や足など色々なところを狙ってきたが、今は胴体か顔だ。

だから、二号のエネルギー弾を受け流しやすくなった。


「そこっ」

『GI?!』


俺への顔へ当たるはずのエネルギー弾を、俺は気を纏った左腕で威力を落とし、右手で受け流す。

もちろん、いくら威力が弱まっているからといって、ダメージが無いわけではない。

左腕の骨は最低でもヒビが入っただろう。

受け流しに使った右手首かなり痛めている。


「食らえ、師匠直伝。【鬼頭殺し】!!」


鬼の頭を一撃で粉砕する為の、必殺の一撃。

全身を気で無理矢理リミッターを外して、拳の打撃を敵に叩き込んだ後、瞬時にこの一撃を打つために体内を巡っていた気をすべて、拳から相手の頭部へ叩き込んむ凶悪な二回攻撃だ。


鋼鉄のように堅い鬼の頭を、未熟な俺でも粉砕できると思わせるほど。

だが、反動も凄まじい。

全身がバラバラになるような衝撃と痛みだ。

拳から全身の気を無理矢理引っ張り出して相手にぶつけるのだから、当然と言えば当然だ。


『GU、GI・・・・・・』

「ごふぁっ」


微かに吐血する。

俺はぐらぐらと揺れ始めた視界で、顔の半分がひしゃげている二号が、怒りを込めて右手の昆虫らしい鋭い鉤爪を俺に振りかぶる。

このまま振り下ろされれば、確実に俺の命はないだろう。


「すごいよ、お兄ちゃん!」


けれど、その心配はない。

ミルキーが、持っていた杖を無垢な笑顔で、二号の右腕を叩くと瞬時に二号の右腕は透明な液体で包み込まれた。


「きゅ~しゅ~!」


ミルキーがそう言うと、透明な液体は二号の全身を包み込んで、ひしゃげた二号の顔半分から液体を吸出し始めた。


「お兄ちゃん、こっちだよ!」

「あ、ああ」

「ありがとうね。お兄ちゃん。大きな隙を作ってくれて」


二号は透明な、いや、昆虫らしい緑色の体液で濁りはじめた液体に包まれながら、もがき苦しみながら徐々に動かなくなっていく。


「足とかだと時間がかかったけど、破壊された場所から体液を吸収する魔法。頭が破壊されているから直ぐに動かなくなるよ」

「すごいな」

「魔法少女だからね。結構自由がきくんだよ」


俺は魔法少女の噂だけは聞いていた。

けど、その噂は真実なんだと分かった。


「そうだもう一体」

「そっちもそろそろ終わるよ」

「何?」


俺が最初にミルキーに拘束された一号の方を見ると、既に一号の抵抗はかなり弱まっていた。


「ここまで弱らせればあとはわたしだけで大丈夫だよお兄ちゃん」

「そ、そうなのか?」

「うん、あ、今頭が破壊されていた方が死んだね」


俺が二号を確認すると、確かに動かなくなっている。

なら、今のうちに天乃さんに現状を報告をした方が良いかな?


「あ、お兄ちゃん。わたし退魔師協会には所属していないから、出来れば関係者に連絡入れてくれる? わたしは魔法少女協会に連絡連絡入れるから」

「え、ああ、分かった」


退魔師協会に所属していないのか? と思ったが、異能力者は能力の特性と力にばらつきがあるから、退魔師協会に所属しない場合があると聞いたことがある。

それと、魔法少女協会は世界平和を目指す集まりだ。

退魔師のように妖魔だけ、警察のように犯罪者だけでは、彼女達的に問題があるのだろう。


俺はそう考えながら、スマホを取り出すと人が走ってくる足音がした。


俺とミルキーは臨戦態勢に入ると、此方へ走ってくる人影を見て、俺は方の力を抜いた。


「部長!」

「知り合い? お兄ちゃん」

「ああ、知っている人だ」


俺がミルキーにそう言うと、部長はこちらに走りよりながら、叫んだ。


「富下と拐われた坂折さんの居場所が分かった!」

「え、本当ですか!?」

「ああ、富下は九森の山へ向かった」

「曇り?」

「九森だよ、お兄ちゃん。昔九人の人柱がたてられた森のこと」


え、人柱って生け贄だよな。


「ともかく、移動するわよ、空城」

「え、でもここは?」

「既に退魔師協会の人間がここへ来ているわ。だから私たちは富下を追うように理事長から指示を受けているわ」

「分かりました。直ぐに天乃さんにも連絡を」


俺は持っていたスマホを操作して、天乃さんに電話をする。

そして、天乃さんが通話に出たと同時に、複数の敵意を感じて、俺たちはその場から飛び退いた。


「お兄ちゃん!!」

「分かっている!!」

「どこに隠れていたの?!」


周囲を見ると、背景が歪み複数のカブトムシ人間が現れた。

しかも、すべてが姿を表したわけではないみたいだ。


『空城?』


天乃さんが電話に出た。切るか? 迷ったのは一瞬。とにかく必要なことだけを伝えないと!!


「天乃さん!? 富下と紫音はショッピングモールには居ない!!」


敵の攻撃が来る。だが、全力で避ける。

コイツら、さっきの一号と二号より動きが遅い?

けど、数が多いな!!


『戦っているのか?』

「人形のカブトムシみたいなのと戦ってい――」


バン! と耳元で弾ける音がし、スマホを持っていた手が激しく痛む。

攻撃された方を見ると、やや離れたところにカブトムシ人間がこちらに両手を向けていた。

俺の手から、血が吹き出てくる。

少し、まずいな。


「呆けないの!」

「わかっています。部長!」

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「問題ない!」


とにかく、今はコイツらを倒さないと。

俺は十匹以上のカブトムシ人間を前に、ファイティングポーズを取って、気合いを入れ直した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ