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空城隕石 六月下旬 日曜日 2


ショッピングモールの総合案内所のお姉さん声をかけた直後、俺の視界の右側にある薄い青色のコンクリート製の壁からズゴンッ! と衝撃音と共に、クモの巣状の亀裂が入った。


突然の非常識な現象に、俺も受付のお姉さん達、周囲にいた人々が動きを止めた。


まさか。と俺が思った次の瞬間。

盛大な破砕音と共にコンクリート制の壁は破壊され、粉砕されたコンクリートが周囲に飛び散り、周囲から悲鳴が上がるが、俺の身体は煙で視界が悪くなった壁の向こう側に存在する敵に備える。


時間にして五秒。煙が晴れ壁を破壊した存在が俺をじっと見ていた。


「カブトムシ、人間?」


コンクリート制の壁を破壊して出てきたのは、カブトムシ特徴を持つ、身長は二メートル五十センチくらいのスマートな人型の妖魔だった。


「妖魔だ! 全員逃げろ!!」


俺の叫びと同時に、カブトムシ人間はまるで弾丸のように俺へと突っ込んで来た。

頭に生えている立派な角を突き出しながら。


「ぐおっ?!」


俺は咄嗟に横へ飛んでカブトムシ人間の突進を回避する。

するとカブトムシ人間はそのまま俺の後方七メートルほどのところにあった太い柱に、凄まじい衝撃音と共に激突した。

なんと言うか、金属を石に打ち付けたような音がしたぞ。

当たったら、洒落にならないな。

そう思って、俺は冷や汗をかきながら、相手の出方をうかがう。

カブトムシ人間が、身体を少し傾けて俺を見た。

戦意は高いみたいだ。

俺も気合いをいれて、目の前にいるカブトムシ人間に勝つためにどうするか、考えを巡らせようとして、俺は気づいた。


『・・・・・・GI?』


カブトムシ人間が顎をギチギチ動かしながら、身体を揺らしている。

いや、揺らしていると言うか、頭を仕切りに動かしていると言うか・・・・・・。


『・・・・・・GI!』


コイツ、・・・・・・もしかして、


「角が抜けないのか?」

『!?』


俺の呟きに、カブトムシ人間はバレた!? と焦った雰囲気を出して、必死に頭を動かし始めた。


俺はとりあえず、攻撃しようと思ったが。

カブトムシ人間の身体を見て、俺が全力で攻撃しても大ダメージを与えられないと判断する。

攻撃して、その反動で角が抜けると厄介だ。


なので、俺は天乃さんに連絡を入れることにした。

少なくても天乃さんなら、理事長に連絡をいれて増援を送ってくれるはずだ。


俺が理事長の連絡先を知っていれば、話は早いんだけど。

仮に俺が退魔師協会に連絡しても、目の前にいる高位と思われる妖魔が出たと伝えても信じてくれるか微妙だ。

というわけで、スマホを取り出した瞬間。


「――うぉっ、危ねぇっ!!」


殺気を感じて、咄嗟に背後を振り替えると、もう一体カブトムシ人間が先ほど開けられた壁の穴から少し身体を出して、両手から妖力のエネルギー弾を放ってきた。


避けたエネルギー弾は俺が今立っていた場所の少し後ろに着弾、子供くらいが入れる穴を開けている。


音もなく、攻撃してきたので気づくのが遅れたら、そのままやられていた。


「柱に角が刺さっているのより、一回り小さいけど」


強そうだな。それと賢そう。


『カクニン、マッサツ』

「片言だけど、しゃべれるのか」


不味い。と思ったときに背後から、ハンマーで壁を殴るような音がして。


「ヤバ!」


角が抜けないカブトムシ人間が柱を殴っていた。


『マッサツ、マッサツ』

「クソッ!」


両手を合わせて、エネルギー弾を放とうとしたカブトムシ人間、後から来たからコイツは二号にしよう。へ、俺は気で脚力を強化して、回り込むように近づく。


回りには既に人は居ない。

よかった。これで野次馬とかいたら、死ぬ可能性が高くなる。


「うぉっ、三秒くらいか?」


近づいて、殴ろうとするが、三秒感覚でエネルギー弾が俺へ飛んでくる。

それに、最初に出てきた奴、一号と防御力が変わらなさそうだ。

時間稼ぎしかない。

俺がそう思っていると、カブトムシ人間一号が、柱を破壊して自由になり、こちらへ突撃してきた。


「本当にしゃれにならないな!!」


カブトムシ人間二号からエネルギー弾が飛んでくるが、一号の突撃に合わせたものではないので、エネルギー弾をなんとか避け、続いて突進してきた一号の攻撃も気を使った身体能力の強化で回避した。


良かった。コイツ等は連携はしてこないようだ。

けど、連携を学んだら、確実に殺られる。


俺がそう思ったとき、


「お困りのようですね。お兄ちゃん」

「え?」


いつの間にか、俺の直ぐ隣に一人の小学生くらいの黒髪のツインテールの美少女が立っていた。

しかも、スクール水着のような紺色のレオタード・・・・・・いや、両腰にフリルススカート。ただし、正面にはスカート部分がなく。

両足にはニーソソックスを履いて、右手にはやや太めの白い五十センチほどの長さの女の子向けの変身ステッキのようなものを持っている。


って、まさか! この子は?!


「魔法少女、ミルキー・ドレイン♪ 見参! あ、ちなみに今活動休止中だから、偽名だよ。お兄ちゃん」

「やっぱり、魔法少女か!」


魔法少女は異能力者だ。

更に、この子の雰囲気からかなりの実力者!


「お兄ちゃんの実力だと流石に、厳しいと思って、助太刀するよ! ミルキー・バリア!」


ミルキーが技名を叫ぶと、俺たちへ突進してきた一号は、俺たちの目の前に現れた白い障壁へ激突した。


「とはいえ、わたし一人だと厳しいから。まずは、拘束!」

『GI!?』


ミルキーがそう叫ぶと、障壁は包み込むように一号を拘束した。

まるでゼリーのように。


「じゃあ、あの一回り小さいカブトムシから倒そうかお兄ちゃん」

「ああ、分かった。けれど、俺の攻撃力だと」

「分かっているよ。お兄ちゃんは、隙をつくって!」

「分かった」


ミルキーの言葉に、俺は気を全身に巡らせて二号へ突撃する。


俺の右側へ、ミルキーが床を滑るように移動する。

いや、実際に滑っている。

まるで氷の上を滑るフィギュアスケートの選手のように。

一瞬確認すると、床が少し濡れている。

なるほど、ミルキーは水系の魔法少女か!!


初めて共に戦うけど、幼い彼女の方が俺よりも手練れだ。


悔しさはあるが、今は頼もしさを感じながら、俺は目の前で、俺とミルキー。どちらに攻撃するべきか迷っている二号を更に迷わせるため、右手に気を集めて牽制の気弾を放った。




カブトムシ人間 一号


力 A+

耐久力 A

素早さ A-

知恵 D

妖力 B


カブトムシ人間 二号


力 B-

耐久力 B

素早さ B

知恵 B

妖力 A+

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