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天乃命 六月下旬 日曜日 1


誰も居ないリビング、坂折さんが寝ていたはずの部屋を確認して、坂折さんのスマホを発見。

これで、スマホの電波から坂折さんの居場所を探ることは出来ない。

瑠瑠を探すのに使った人探しの道具は実家に返却している。


俺は直ぐに、退魔部のSNSで坂折さんがいなくなったことを伝える。

これで俺を眠らせたと思われる香の燃えカスが無ければ、俺の昨日の注意を忘れて、坂折さんが一人でコンビニか何処かに、買い物に行っただけかもしれない。と俺は思ったか可能性があったが。


何故、わざわざ俺が目を覚ましたときに、直ぐに危機感を覚えるようなことをした?

分からない。

家に張っている結界を確認するが、破られた形跡はない。

やはり、坂折さんが俺を眠らせた。

本当に何故だ?

俺がそう思いながら、坂折さんが寝ていた部屋から出ようとしたとき、


「粉?」


壁の柱に吊るされている坂折さんの制服の袖が少しだけ白い粉で汚れていた。


俺は、何気なくそれに触れて、


「――これは、・・・・・・そうか、アイツか」


俺は即座に、退魔部のSNSに連絡を入れる。

坂折さんが行方不明、更に妖魔に操られている可能性を。





「それは、間違いないのですか?」

『ええ、身体測定と過去の病院での通院時の怪我の治療などのカルテなどを見る限り、彼は正真正銘の人間のはずよ』


俺は理事長にスマホで連絡をして、現在理事長が用意した車で空城が富下勝好がいたショッピングモールへと向かっている。


「富下が妖魔、または半魔の可能性は低いと?」

『人間に化けている妖魔の可能性はないわ。いくらなんでも、入学してこれまでずっと私たちにバレないのはおかしいわ。半分人間の半魔でもよ』

「富下が学校内に妖魔を入れた可能性、もしくは既に富下が妖魔に寄生されている可能性は? 瑠瑠の時は分からなかったようですが」

『あの時は、小山さんは妖魔には協力していたけど、妖魔由来のモノ何一つ学校内に持ち込んでいないわ。残り香なのどを念入りに消していたようだし、その状態では学校内の結界には引っ掛からないの、普通妖魔に協力する人間はからだの一部が妖魔のそれに変化するか、痕跡が染み込むから』


坂折さんを連れ去ったと思われる富下。

その富下は妖魔の可能性を考えていたけれど、地脈などを考慮されて作られた学校は、妖魔が入り込めないように結界などの工夫が色々とされている。


だから、高位の妖魔が人に化けているのかと思ったが、変装に特化した妖魔でも学校に入り込んで二ヶ月近く理事長たちに正体をばれずに過ごすのは流石に無理があるか。


「分かりました。まず、空城と合流します。その後は」

『こちらも、人を動かします。ただし、出来るだけ内密に』

「それは?」

『あまり大事になれば、色々と回りがうるさくなる可能性が高い案件よ』

「申し訳ない。富下が何者か分かりませんが、坂折さんを操ることを見抜けずに」

『いいえ、貴女以外が護衛をしていたら、もっと早くに坂折さんが行方不明になっていた可能性があるわ。聞いている限り催眠や洗脳系。貴女の高い耐性がなかったら、操られていたか、寝ている時に殺されていた可能性があるわ』


専門ではないが、実家で薬品系はそれなりに知識を詰め込まれている。

俺の部屋の外においてあった、香の残りを軽く調べたかが、かなり質の高いものだと分かった。


確かに耐性が高くないと、恐らく夕方まで起きなかった可能性がある。

更に俺の戦闘力を知っていたから、坂折さんに俺の寝込みを襲わせなかったのだろう。


「けど、不可解ですね」

『何かしら?』

「何故、富下は人目が多いショッピングモールへ?」

『・・・・・・仮に、人を操る能力を持つ妖魔と協力関係なら、ショッピングモールの人々は』

「――人質兼戦力!?」

『・・・・・・不味いわね。ショッピングモールにいる人たちの精密検査をしないと、潜在的に催眠、洗脳されている人間を街を自由に歩いている可能性があるわ』


過去の事例から、俺と理事長は最悪を予想して、背筋が凍りついた。


「富下を見つけたら、問答無用で沈めます」

『くれぐれも殺さないように、催眠または洗脳が溶けなくなる可能性があるわ』

「分かっています。その可能性も考慮した上で、ダメージを与えて動けなくします」

『こちらも、動かせる人員を直ぐに動かすわ』

「はい、分かりました」


俺が理事長との通話を切ると、即座に空城から連絡が来た。


「空城?」

『天乃さん!? 富下と紫音はショッピングモールには居ない!!』


切羽詰まった空城の声、更には以後からは破壊音が連続して聞こえてきた。

おいおい、まさか。


「戦っているのか?!」

『人形のカブトムシみたいなのと戦ってい――』


そこで通話が切れた。

最後は何か激しくぶつかる音がしたことを考えると、空城のスマホが破壊された可能性が高い。


「すみません、スピードを上げてください」

「分かりました」


俺は空城と合流を急いだ。更にスマホで葉山さんと瑠瑠は、退魔師協会で待機するようにメッセージを入れる。

夏影さんと秋島先輩にもショッピングモールで空城が妖魔と戦闘中だと連絡を入れる。


「本格的に不味いな」


装備はしっかりと持ってきたが、民間人がいる場所での戦闘はあまり経験がない。


「勘弁してくれ」


俺は小さく、ため息をつきながら、持ってきた装備の最終点検を行った。



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