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天乃命 六月下旬 10


坂折さんから連絡をもらい、俺は坂折さんを学校に迎えに行った。

空城達と一緒かと思ったら、坂折さん一人だった。

どうやら、教室に忘れ物と現国の教師にプリントを渡さないといけなかったらしく、空城達とは、学校へ向かう途中ですれ違った。


学校に着いた俺はまず職員室へ向かう。

現国の清水先生は、四十代の男性の教師で子煩悩な人だ。

この学校の教師では数少ない一般教師でもある。


「坂折さんなら、プリントを置いて教室へ向かいましたよ」

「あ、分かりました。ありがとうございます」


部室から、職員室と坂折さんの教室は距離的にどちらも微妙だ。

運が良ければ合流できたけど。

俺はそう思いながら、小走りで坂折さんの教室へ。


階段を登り、廊下を歩いていると、坂折さんのクラスから、話声が聞こえてきた。

坂折さん以外にも誰かいるのかな?

そう思いながら、坂折さんのクラスへ近づくと、教室の扉がいて一人の男子生徒が出てきた。


「おや、天乃さん、こんにちは」

「富下さん、どうしたの? こんな時間に」

「これ、忘れてね」


と、富下勝好が見せてきたのは、映画のチケット? だった。


「明日、友達と観に行くんだ」

「ああ、確かにチケットは忘れたら大変だわ」


俺がそう言うと、富下は「本当は女の子と行くつもりだったんだけどね」と苦笑いを浮かべた。

その表情だけは、嘘臭くはなかった。


「あ、それじゃあ、僕はこれで」

「ええ、それじゃあ」


俺はそう言うと、俺は坂折さんの教室へ入る。


「坂折さん」

「天乃さん」


ちょうど真ん中辺りの席に座る坂折さんは立ち上がると、俺の方までやって来て「迷惑をかける」と言ったので、俺は「気にしないで」と伝える。


それじゃあ、帰ろうと言おうとした時、坂折さんの制服の右ポケットが不自然に膨らんでいた。


「どうしたのそれ?」

「さっきまで、クシャミが止まらなくて」


富下にポケットティッシュをもらったけど、使いきったらしい。


「捨ててくる」

「うん、季節外れの花粉症? それとも風邪?」

「分からない」


首を横に降る坂折さんに、俺は今日の夕食にビタミンを多めに取れる食材で夕食を作ろうと心に決めた。


家に帰る、夕食は俺と坂折さん、瑠瑠の三人で食べる。

うーん、なんか馴染んできてしまった。


そのあとは、順番に風呂に入り、瑠瑠に退魔師について色々と教える。


「おさらいだけど、この世界には人が使えるオカルト的な力があります。魔力を使った西洋魔術、東洋魔術。物を曲げたり、透視を行ったり出来る超能力。後、魔法少女に変身したり、触れたものを塩に変えたりする、異能力。それと妖魔や悪魔などのハーフはその血を受け継いで使える能力もある」


西洋魔術、東洋魔術は生命エネルギーを魔力と気に一度変換して、術を使っている。

超能力は、生命エネルギーをそのまま、使っている。けれど、汎用性はなく。超能力者は多くても三つくらいしか超能力を使えない。

異能力者は、神からの贈り物と言われているくらい、謎が多い。

魔法少女に変身できる人物を調べた結果、生命エネルギーを使わずに、変身を行い。

強力なSランク魔術を越える力を放つことが出来る。

坂折さんの気の匂いをかぎ分けるのはこれになる。

最後の、妖魔や悪魔の血を受け継いで使える能力は、種族の力だ。

天乃家は半魔の血をそれなりに入れているので、一族の中にも妖魔由来の力を使える者がいるので、俺にはそれなりに馴染みがある。

能力の強さはピンキリだ。


「最後の力に関しては、もしかしたら、瑠瑠も関係があるかもしれないから、気を付けてね」

「え、何故ですか?」

「たまに、妖魔に乗っ取られた人が、妖魔由来の力を使えるようになる場合があるんだ」


瑠瑠の場合は、あの妖魔と相性が良さそうだった。

となると、可能性は十分にある。


「そ、そうですか」

「大丈夫、能力が使えても、退魔師教会は危害を加えないよ。それどころか色々と力を貸してくれるはず、・・・・・・西洋の教会勢力は何を仕出かすか分からないけど」

「ええっ!?」


西洋圏は、未だに過激な連中が異端者狩りとかしているから、迷惑なんだよね。

天乃家もしつこく、狙われているし。

まあ、返り討ちに合って、婿入りしたヤツが何人かいるけど。


「っと、そろそろ時間だね。後は、この資料を」

「はい、ありがとうございます」


もう十時だった。俺は瑠瑠を見送り、坂折さんに明日の予定を再確認した。


「明日は家でのんびりで良いの?」

「うん、・・・・・・出掛ける予定はない」

「分かった。あ、それと外から侵入されないように強めの決壊を張っておくけど、もし、コンビニとかに行く時は言って、私がいれば外から家に入るとき、結界を解かなくても良いから」

「うん、分かった」


坂折さんが俺の言葉に頷いたのを確認して、俺は自室へ戻り、眠った。


そして、この日はなぜか普段よりも寝付きが良かった。







翌日、俺が起きたのは、午後一時。

俺の寝室の扉は微かに開けられており、部屋のリビングには、見たこともないお香の燃えかすが入った器が残されていた。

家に居るはずの坂折さんの姿は、家の中にはどこにもなかった。






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