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天乃命 六月下旬4


うん、逃げられなかった。

部長、秋島先輩が部室に来て「全員今日は走り込み」と言われて、俺たちは全員でグラウンドを走り続けている。


先頭は部長、次に空城、葉山さん、夏影さん、坂折さん達のやや後方に俺と瑠瑠が走っている。


現在、グラウンドを五週目、陸上部の生徒達(長距離選手)も一緒に走っているのだが、


「おのれぇ、空城。新しく一人ロリっ娘をふやしただと!?」

「既に四人の美少女に囲まれているのに!」

「つーか、あんな眼鏡をかけた地味なヤツいたか?」


時々聞こえてくる周りの運動部の男子達の声を聞き流しながら、さらっと俺は隣を走る瑠瑠をディスった男子生徒の顔をしっかりと覚えておく。


誤解がないように言っておくが、瑠瑠は可愛いからな。

素朴と言うか、ノーマルというか、普通と言うか。


・・・・・・。


「瑠瑠、貴女はとても可愛いからね」

「と、突然どうしたの!?」


隣を走っている瑠瑠のそう言うと、突然の俺の言葉に頬を紅くしながら、驚く瑠瑠。

こういう、女の子らしい仕草を自然とできるのはすごいと思うぞ。

女子力ポイントが上がると思う。



ちなみに美少女四人とは、面倒見の良いお姉さんキャラの秋島先輩。


家庭的な正統派幼馴染みの美少女。

最近髪型に悩んでいたけど、ハーフアップに固定した葉山さん。


気が強く、ツンデレでそこそこの頻度で髪型を変えていたが、空城君「やっぱり、ツインテールが一番似合うな」の一言でやっぱりロング・ツインテールに固定した。

夏影さん。


最後は俺だ。

普段はロングへア。運動するときはポニーテール。

俺のポニテ姿に胸キュンする男子が多いらしい。

主な理由はうなじ。

うん、気持ちは分かる。けど、男子共はコッチを見るな?

気持ちが悪いから。


「後五周!」

「「「「「「はい」」」」」」


今日は陸上部と合同で走る量は少ないが、やるときはぶっ倒れるまでひたすら走る。


歩兵じゃないんだから! というくらい走る。

気の使用はもちろん禁止。

とはいえ、その時はマネージャーの葉山さんと瑠瑠はお休み。

俺と空城、秋島先輩と夏影さんが走るのだが、今後は坂折さんも参加することになりそうだが、大丈夫か?

多少は訓練をしていそうだけど、体力があるようには見えない。


「終わったー」

「えぇ、疲れたわ」

「瑠瑠、葉山さんは、大丈夫?」


ノルマが終わり、次は筋トレに入る前に水分補給と呼吸を整える。

体力馬鹿の空城は問題ない。秋島先輩と夏影さんやや疲れているが、まだまだいけるだろう。

瑠瑠と葉山さんは死にかけている。

まずは、スポーツドリンクとタオルだな。


「あ、坂折さんは、平気?」

「・・・・・・だい、じょうぶ」


葉山さんと瑠瑠よりは、坂折さんは体力はあるけれど、まだまだ足りない。

あ、空城がちょうど用意していた見にクーラーボックスとタオルの近くにいるな。


「空城、坂折さんにスポドリとタオルを」

「おおっ、分かった!」


何気なくそう言った瞬間、俺は葉山さんと夏影さん二人からじっと見詰められた。

お願いです。ハイライト仕事してください。

怖いから、マジで目の奥が笑っていないから!


「ありがとう、メテオ」

「気にするな、――っと」

「あっ」

「大丈夫か?」

「少し目眩がしただけ・・・・・・」


ふらついた坂折さんを空城が支えた瞬間、周りの気温が下がった気がした。


葉山さんと夏影さんの視線が空城に向いている間に、トレーニングルームに移動せねば。


この後、空城と坂折さんの肉体的接触が何故か多くて、葉山さんと夏影さんの機嫌は悪くなる一方だった。


俺は瑠瑠と共に離れてそれを見ていた。



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