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天乃命15

本日連続投稿2回目



 古来より、口付けをして気を、魔力を送ることが発動条件の術はある。

 絵本で有名な白雪姫や眠り姫のキスをして呪いが解けるのも、その一種だ。

 キスで気を体内に送り込むメリットは多い。

 内側から治療するや強化は、術や術者にもよるが、外側からかけるより効果がある。

 まぁ、使い手は殆どいない、うん、殆ど。

 その九割方ウチの家の女共で、その貴重な一割が目の前にいる。


 正直驚いた。

 キスされた瞬間、空城を殴らなかったのが奇跡だ。

 空城に気を送りこんで数秒後、俺は驚愕した。


 空城の体内で気が融合と爆発を繰り返しているのだ。

 単純な気の量で、俺は化け物扱いされている。

 その俺でさえ、目の前で白銀に輝く空城の気の量は、恐ろしいと感じている。


「チ○ポ○野郎、覚悟はできているか?」

『お、おいおい、ガキ! お前っ?!』


 ハッキリ言おう、こんな量と質の気を体内で生み出している現状に俺は強い危機感を覚えた。

 空城が妖魔を短時間で倒せなければ、空城の命が危ない。

 俺はそう思って、空城に警告を出そうとした瞬間、俺は空城に抱きよせられた。

 しかもコイツ、俺の太股さり気なく揉みながら、俺から気を吸い取っていきやがった。

 無意識に行なっているようだが、なんて器用な奴!


「ふっ、直ぐに終わらせてくる!」

「あ、うん……」


 急にドヤ顔になったけど、コイツ何? どうしたの? キモイ。


「終わったら、太股を揉ませてくれ。いや、俺の顔面を太股で挟んでくれ」

「は?」


 は、何を言いだし済んだコイツ? 本当に頭大丈夫か?

 そう思った瞬間、


『ぐぉっ?! な、何だと!?』


 空城の姿が消え、妖魔の顎に当たる部分に打撃音が生じた。

 目で追えなかった。今まで、俺は敵の動きが速すぎて、目で追えなかったとしても直感である程度の位置を察することが俺には出来た。

 場合によってはカウンターで妖魔を沈めたこともある。


 風、気配、妖力、気、後は直感で、どんなに素早くても、透明になって姿が見えなかろうと、俺は相手の居場所が分かった。

 その俺が、空城の動きが見えず、何処にいるかも分からない。

 空城の動きは見えない。けれど、もの凄い攻撃回数と攻撃力を持って、妖魔を圧倒している。

 妖魔は、なんとか反撃しようともがいているが、ことごとく失敗している。


 気に強い耐性を持つ妖魔を、一方的にボコボコにしていく。

 防御を越えた、馬鹿げた攻撃力。

 通常のSランクの妖魔では恐らく一撃で終わっていただろう。


 時間にして十秒、いや五秒くらいだろうか?


 デタラメだ。

 俺の背筋から冷たい汗が噴き出てくる。だが同時に、空城の身体が心配になってくる。

 俺ですら、大技を使えば反動で数日は殆ど動けなくなる。


 それなのに、今空城は強大な気を使って、武器の具現化まで行なっている。

 気で足場を作り、神剣のような物を生み出そうとしている。

 俺は咄嗟に止めろ! と叫んだ。けれど、空城には声が届かない。



「はああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!」



 空城が作ろうとしている物の異常性に気づいている妖魔は、必死で逃げようとする。

 けれど、ダメージが大き過ぎて逃げられるはずがない。

 予備の身体があるような雰囲気でもない。必死で地中に逃げようとしたが無理だと悟ったのだろう。

 諦めて、空城を睨みつけた。


『おいおい、シャレにならねぇよ!! ガキ、お前は何なんだよ!!』

「妖魔、覚えておくと良い」


 空城を包んでいる白銀のーラが更に強くなっていた。

 拙い、助けないと空城が死ぬかもしれない。


 けれど、俺の後ろには小山さんがいる。

空城があの剣の一撃を妖魔に叩き込めば、この辺りは更地になる。

 迷ったのは一瞬、俺は泣いていた。

 今俺が守るべきは、


「これが、俺の全力だあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」


 俺は空城に背を向けて、小山さんを助けに走った。

 視界が滲む。何故か分からないが。涙が止まらない。

 人を見捨てたことなんて、今までにも何回かあった。


 今の俺では空城を助けられない。助けられる可能性があるのは小山さんの方だ。

 だから、この選択は正しい。間違っていない。

 奥歯を強く噛み締める。


「小山さん!!」


 俺はグッタリとしている小山さんを強く抱きしめ、気の結界を更に自分と小山さんに張り巡らせた瞬間。

 銀光が俺と小山さんを迫り、遅れて凄まじい爆音と衝撃が俺を包みこんだ。



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