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プラスA  作者: 於田縫紀
第14話 夏休みの始まり 

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その3 大きな誤算

 そんな訳で十二日月曜日の深夜。

 車はお盆休みの渋滞を避ける為午前〇時に家を出発した。

 ただ僕にとって大きな誤算がひとつある。

 僕が乗っているのはあの四駆の助手席。

 運転しているのは父だ。


「様子を見に行く折角の機会だからな。文明も運転は初心者だし、行くだけ一緒に行こう」

 そんな訳で父がいきなり同行してしまったのである。

 なおこの方針、僕以外の家族は了承済みだったようだ。

 道理で免許取り立ての僕がいきなり高速を長距離運転していく事に母から意見が出ないと思った。

 だがその辺はもう後の祭りである。


 まあ向こうの家には朝までに連絡を入れておけば良いか。

 何せ横で父が運転しているから電話をするわけにもいかない。

 隙を見て学内SNSで連絡するしかないだろう。


 それにしてもこの車、色々と教習車と違う。

 マニュアルミッションなのは想定内なのだがギアレバーがもう一つ余分にある。

 それに軽自動車並に狭い。

 美智流さんの軽の方がむしろ広い位だ。

 狭いのは後ろに積んでいる荷物のせいもある。

 後席を畳んで荷室を拡張、鉄ホイール付きタイヤを四本載せているのだ。

 父曰く『冬用のスタッドレスタイヤだ。霜がおり始めたら交換しろ』だそうだ。

 ある意味至れり尽くせりではある。


 高速道路は幸い順調。

 この時間は渋滞は無い模様だ。

「しかし走ってみるとやっぱりこの車、高速道路は得意ではないな。どうしてもハンドルが神経質だしエンジン回転数も上がる」


「でもわかって買ったんだろ」

「まあな。あの辺の狭い道でも小回りが利くし新雪ならランクルより得意だ。エンジンもメカもシンプルで壊れにくい。あの辺での実用車としてならこれが一番だな」


「知り合いや先輩は普通の軽や乗用車の四駆が多いけれど」

「除雪車が通る道路ならそれでいいけれどな。家の前の道路は除雪車が来ないからな。いざという時はこれくらいの性能があると気分的に楽だ。ところでだ」

 何だろう。

「倉庫に置いておいたトラクターやユンボ、使えているか?」


 うっ。

 あの辺の機械をガンガン使っている事は実は父には言っていない。

 使ってもいいかとは一応聞いた。

 その時に父は『詳しい人に一度確認して貰え』と言ったきりだった。


 どう答えようか。

 何せあの辺の機械を使う理由など、開発行為とか以外にあり得ない。

 でも現にガンガンに使っているしこの車は半日後にはあの家に到着してしまう。

 だからちょっと考えた上、正直に答える事にする。


「ああ。オイルとかも全部変えたけれどその後は調子よく使っている。十数年放っておいたとは思えない調子だって整備してくれた人も言っていた」

 あの辺の機械類には疑問が色々ある。

 何故父は使えるようにあの機械類を置いておいたのだろうか。


「なら、僕が思ったよりも上手く行っているのかもしれないな」

 父は僕にはわからない事を言う。


「どういう意味だ?」

「あそこのトラクターとかユンボ、チェーンソーなんかは本当は僕が使うつもりで置いておいたんだ。近所が農家をやめると聞いた時にに譲って貰ったりしてできる限り壊れにくく頑丈な機械を揃えて。考えられる最上の方法で保管してな。

 ただ残念だが僕にはあれらを使う事が出来る日がこなかった。

 文明があの大学に行くと聞いた時、ひょっとしたらまだ可能性は残っているのかと思った。遠い遠い日にしたある約束を叶えられる可能性がな」


 父は何を言っているのだろう。

 でも僕は父の言葉にひっかかる何かを感じた。

 すぐには思い出せないが誰かに何か関係するような事を聞いたような日がする。

 父は僕がそれを思い出すよりも早くある質問を口にした。


「もしわからなければ正直にわからないと言って欲しい。美鈴さんは元気か?」

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