その4 変態への対策
「美智流先輩はやっぱり知らないそうよ。全部あいつの芝居だったみたい」
僕が第二食堂で抜田先輩に話しかけられた件について、真理枝さんがSNSを使って美智流先輩に質問した結果だ。
「つまりあの一部始終は自作自演と」
「そういう事。近々侵入を開始するぞという予告のつもりだったんだと思うわ。あの変態の事だから」
僕は術だという事を全く見破れなかったな。
取り敢えず術の腕は確からしい。
「防護策は何かあるんですか」
少なくとも僕はあてに出来ない。
抜田先輩の術を全く見破れなかったし。
「美鈴さんが家内の把握を一段厳しくするそうです。私は……ちょうどいい魔法は思いつきません」
「応急措置として私もいくつか結界を展開しておくわ。あとは休みの日に美智流先輩にも手伝って貰う」
うーむ、それ位だろうなあ。
僕は術とかについては全然知らないのでどうしようも無い。
「鍵をかけるとかそういうのは役に立ちそうに無いですしね」
「この家は隙間多いから多分意味ないよね」
やっぱり。
「ただあの変態の事だから、やってくるのはこっちが準備万端調えてからだと思うわ。だから今度こそ絶対に入れないようにした上で、色々罠を仕掛けて現行犯で捕まえてやる!」
うーむ。
「参考までに罠ってどんな感じですか」
「基本は侵入で結界が破れたのと同時に術無効のお札を発動させたり、触ると発動するタイプのお札を見えないようにいくつも仕掛けたりするんだけれどね。ただ術も呪符の使い方も残念ながら私よりあの変態の方が上なんだよね、悔しいけれど」
なるほど。
ところで疑問が一つある。
「もし侵入してくるとして、抜田先輩は何を狙ってくると思いますか」
「難しいわね」
真理枝さんは眉をしかめる。
「あの変態がやるとしたら下着泥棒かのぞきの現行犯。のぞきだとしたらこっそり見る訳じゃ無くて、途中から『のぞいているぞ』とアピールする感じ。基本は嫌がらせというかなんだよね。『人の嫌がる事を進んでしましょう』の間違い版で」
「実害がある行為はあまりしないと」
「あの変態の存在だけで充分実害よ!」
うーん。
お怒りの真理枝先輩には言えないけれど、どうも抜田先輩のエロ行為というのはあまり実害は無いような気がする。
ただ単に遊んでいるだけ。
おそらくエロは目的では無い。
真理枝さんをゲームの盤上にのせるための単なる手段だ。
悪戯しがいがある相手でないと面白く無いって台詞もその考えを裏付ける。
つまりメインの目的はエロでは無く悪戯で相手が反応することにあるのだろう。
ならきっと悪戯防止の一番の対策はきっと『無視すること』だ。
でもお怒りの真理枝さんにそんな事はとても言えない。
悪戯としてタチが悪いのも確かだし。
「とりあえず色々協力して貰うかもしれないからよろしくね」
「了解です」
一応はそう言っておく。




