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プラスA  作者: 於田縫紀
第11話 洒落にならない脅迫事案

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その3 脅迫事案と危険な結末

「でもその理由で入るのを許可したら、僕が酷い目に遭うと思いませんか」

 オブラートに包んだ言い方でエロい気満載のお願いを断る。


「勿論そうだろう。だからこれから僕は君を恐喝するつもりだ。断れないようなえぐい方法でさ。だから君はそれに屈したという形で許可してくれればいい」


 何だって!

 恐喝だと!!

 ただこの人の場合、雰囲気からするとエロいけれど人そのものは悪そうではない。

 言っていることもとんでもないのだけれど暴力的な雰囲気はまるで無い。

 なので思わず聞いてしまう。

「どんな恐喝をするんですか」


「簡単さ」

 いかにも悪巧みをしていますというような笑顔で彼は僕に告げる。

「僕に通行許可を出さない場合はだ。君こと工学部情報科学科一年の津々井文明君が自宅で女の子二人と同棲しているという事実を学校掲示板に書きまくる。

 そうしたら男子ばかりの情報科学科ではあっという間に君は有名人にして村八分だ。情報科学科のみならず理学部工学部男子の嫉妬の目線を存分に受け孤独に苦しむがいい。さあどうだこの脅迫は!」


 微妙に事実と違うので抗議する。

「それは事実では無いですけれど」

「でも同居しているだろ。事実なんてそれで必要にして充分だ」


 考えて見るとなかなか厳しい。

 確かにそんなの掲示板に書かれたらダメージが大きいだろう。

 何せ工学部全体が女の子に飢えている。 


「先輩、なかなかたちが悪いですね」

「ははははは、よく言われる」

 抜田先輩、すごくいい笑顔でそう言いきる。

 言っている内容と裏腹にに爽やかとさえ言っていい笑顔だ。

 これは確かに勝てない。


 でもどうしようか。

 抜田先輩が女性陣に対して危険人物なのはもう間違いない。

 許可したら色々しょうも無い部分で事件が頻発しそうな気がする。

 のぞきとか夜這いとかそういった事件が。

 どう考えてもここは断るべきだろう。

 でもあの条件はきつすぎる。

 これはどうするべきか……


「これは悩む事かな。条件的に断るのは無理だろう。クラスの君の友人も一気にいなくなる。何より怖いのが周りからの視線。あいつは仲間じゃない裏切り者だリア充だ、そんな視線を常に受ける事になるぞ。

 さあよく考えろ。その上で我が提案にひれ伏すが……グワッ!」


 抜田先輩がいきなり食堂のテーブルに前のめりに突っ伏した。

 そしてその背後には、先程噂にあがった怖い怖い先輩が……


「怪しい波動が出ているから何かと思って来てみれば。案の定でしたね」

 抜田先輩の背後に立っているのは白衣姿で片手に分厚い洋書を抱えた美智流先輩。

「とりあえずこのエロ狸はこちらで回収します。そんな訳でご心配なく」


 うーん。

 念の為一応聞いてみる。

「亜人男子ってこんな人ばかりなんですか」

 美智流先輩は深く深くため息をついた。


「要注意人物の中では一番ましな方ですね、これでも。ただただ色欲に走っているだけで実害はさほどありませんから。放しておいてもせいぜいのぞきとかお触り程度でそれ以上強制的なことはしませんし。ただ女子的に許せない存在であるのは間違いないですね。そんな訳で少しお仕置きをしておく予定です」

 そう言ってばさっと抜田先輩を肩にかつぐ。

 抜田先輩は気を失っているらしく抵抗はない。


「参考までにどう処分するんですか」

「第三サークル棟の男子シャワー室に気を失ったまま放置しておく予定です。あそこは男子同性愛の方の巣窟、くだけた言葉で言えばハッテン場です。さぞかし気持ちいい思いをする事でしょう」


 おい美智流先輩ちょっと待った!

 それはそれで厳しすぎるし危険ではないのか。

 そもそもそんな危険な場所が何でこの大学内にあるんだ!


「この大学内は女子が少なく娯楽も少ないですからね。それでは」

 僕の口に出さなかった疑問にさらりと答え、美智流先輩は去って行く。

 肩に自分より大柄な男子を担いで歩いているのだが誰も振り返ったり注目したりはしない。

 きっと美智流先輩も何らかの術を使っているのだろう。


 僕はこの後抜田先輩を襲う事になる恐ろしい事態の事を考えずにはいられない。

 大丈夫だろうか、抜田先輩は。

 何かこの大学の闇を見てしまったような気がした。

 うん、この件はこれで忘れよう。

 その方がいい、きっと。

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