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プラスA  作者: 於田縫紀
プロローグ 解説役の彼女

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その2 出会い(2)

 それで僕が目を逸らしたところで、彼女が僕の方をはっきり見て口を開く。

「ひょっとして何処かでお会いしましたか?」

 彼女の方からそう言ってくれた。

 有り難い、チャンスだ。


「いや、話すのは始めてだけれど出身、辻浦二高じゃない? 辻浦駅の本屋とかマックとかで見かけた人に良く似ているような気がして」

 彼女はほんの少し表情を緩める。

 彼女は整った顔立ちのせいか割と無表情に見えるタイプ。

 でも何故か表情の変化が僕にはわかった。


「ええ。高校は辻浦二高で実家は馬久です。気づきませんで失礼しました」

「いや、見かけただけだし気づかないのが普通だと思う」

 自分で言っていてそうだよなと思う。

 まるでストーカーだ。


「それにしても辻浦一高からここへ来るのは珍しいですね。医学部ですか」

「いや、工学部。共通試験で英語に失敗して第一志望に落ちて」

「そうでしたか、済みません」

「いや、ここはここで悪く無さそうだしさ」


「そうですね」

 彼女は頷く。

「思った以上に面白そうな場所です。私は薬学部志望だったので何となくここに決めました。でもひょっとしたら自分の意志では無くここの環境に“喚ばれた”のかもしれません」


 喚ばれた?

 何だろう、それは。

 ひょっとして僕の聞き違いだろうか。


「“喚ばれた”のは私だけで無く貴方もかもしれません。私に気づいたという事は、きっと。それくらいにここは変わった、ある意味では面白い場所のようです」

 聞き違いでは無かったようだ。

 でもそれならばどういう意味だろう。

 僕には全くわからない。

 ひょっとしてこの人、電波系だったのだろうか。

 でも一応聞いてみよう。


「喚ばれたとはどういう意味ですか?」

「もしもお互い“喚ばれた”のなら近いうちにわかるでしょう。そうならまた近いうちに会うことになると思います。その時はまたどうぞよろしく。それでは」

 彼女は一方的に言うと僕に頭を下げ、そして去って行った。


 残された僕は一人考える。

 今の台詞はどういう意味なのだろうかと。

 どう考えてもわからない。

 ひょっとして新手のナンパ防止術なのだろうか。


 この学校は女子が少ない。

 医学部の半数、薬学部の七割、理学部の数人、工学部の数人。

 全体でみると女子の割合は約一割程度だ。

 だからそんな技も必要かも知れないけれど、それにしては妙な気がする。

 やっぱりモノホンの電波系という奴だろうか。


 まあその辺はわからないけれど解明する手段はきっと無い。

 今の感じだと次に会った時は会話なしか電波系会話だろうから。

 だからこれ以上は考えない事にしよう。

 名前を聞いていないけれど、どうせ今後関わる事無いだろうから。


 なお僕のこの予想は思い切り外れる事になる。

 ただこの時の僕はまだ知らなかったのだ。

 美山医科理科大学と大学を中心としたこの学園都市がどんな場所であるか。

 そして何故僕がここの大学に来たのかを。

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