×無碍 〇無下 なろうで一番多い誤字
恥ずかしながら私は、小説といったものは一切書いたことのない所謂無産階級・ROM専であり、なおかつランキングに載るような人気作しか読まないような浅いなろうファンではあるが、そんな私でも、諸先生方の心躍るような物語を読んでいるうちに、門前の小僧なんとやらで、わずかばかり以前より語彙力が増したように感じる。
そうなると生意気ながら、いままで気づかなかった文書中の誤字脱字が気になってくるようになってしまった。物語の面白さには関係しないが、やはり読者としては気になるものだ。
その中でも特に表題の間違いは、こまめに誤字を直されるような方でもそのまま放置されることも多いようで、私の体感では半数以上の方が間違えているという印象がある。(統計など取ったわけではありません。申し訳ありません。)
問題は、文章中に「素っ気なくする」「無駄にする」にするといった意味で、“ムゲにする”を用いるときに起きる。多くの方がこの時“無碍にする”という漢字を当てるが、これは明らかに誤字である。
無碍とは、「何ものにもとらわれないさま」や「妨げがないこと」を表し、同義の融通と組み合わせて、専ら 融通無碍 の形で用いる。
正しくは“無下にする”である。
では、なぜこのような間違いが頻発したのか―――
それは、一般によく使われるWindowsの文字入力ソフトであるWindowsIMEで、“無下”が“ムゲ”の変換候補に出てこず、変換候補の一番上に“無碍”が来たためだ。
当然、変換しても出てこない漢字などは、たとえ頭をよぎっても使うことを躊躇ってしまうものだろう。
だから誤字も増えていった。
実は、先ほど改めて試したところWindowsIMEで無下と変換できてしまった。最後に変換できないことを確認したのがいつのことだったか思い出すことは出来ないが、しかし最近の作品の中にも同様の間違いを見つけたため、すでに誤って覚えてしまっている方もいるのではないだろうかと思う。
これを読まれた中で心当たりのある方は、ぜひ気に留めていただければ幸いである。