第7話
~アルティーナ某所~
「さて、今回は合同訓練と聞いていたが…」
フルフルと小さく震えている長身の男。軍服をしっかり着ている。
「デルタフォースとは聞いてないぞ!」
震えていたのは、恐怖でも寒さでも無く怒りだった。
ここはアルティーナ王国国防軍駐屯地。アルティーナ13番地全部を占める面積の軍事基地で、広大な訓練施設に設備が整った寮がある。これも国が裕福だからだろう。
そして、今日。
先程怒りを露わにした男ウィルが率いる第三小隊と、デルタフォースと呼ばれた4人組の部隊が合同訓練を行うそうだ。だが、問題が発生した。
「え?うそぉ。僕はウィル達とって聞いていたよ?」
一丁前にあご髭を伸ばした男は癖なのか、困った顔をして後頭部をボリボリと掻いた。
「な…。では、情報がしっかり伝達してなかったと言うのか」
「いや、そうではない」
困惑するウィルの元に低くて太い声が響いた。
「ゲ、ゲルマンディ軍曹!」
ウィルは即座に敬礼をした。身長220㎝の服の上からでもわかる筋肉の隆起。数多の戦場を潜り抜けてきたゲルマンディ軍曹に綺麗な敬礼をした。
第三小隊の他の隊員もウィルに劣らず、綺麗な敬礼をしている。
「あ、ゲルマンディさん。お疲れ様です」
しかしながら、第三小隊ではない方。Δ4sの隊長であるニックは軍曹と呼ばず、最低限の礼儀なのか『さん』付けで呼び、敬礼も軽い感じでしかもゆるい。
これは懲罰が下されると思ったが。
「おぉ、ニックではないか。最近の調子はどうだ?」
今にも服が破けそうなほど膨れ上がった腕でニックのことを殴るでもなく、むしろゲルマンディ軍曹は少し明るめの声で世間話しを始めたのだ。
「この前の実践で勝手な行動したせいでしばらく謹慎でしたよ」
「だろうな!その罰は俺が下したからな!」
「そんなぁ、軍曹ひどーい」
エリカも会話に入り、3人でワイワイ楽しく会話をしている。なんとも楽しそうな光景だ。
「ちょっと待ってください!」
そんな団らんを断ち切ったのが第三小隊隊長のウィル。
「色々と気になる事はあるのですが、まずなぜここにゲルマンディ軍曹がいらっしゃるのですか?!」
焦りを隠しきれないウィルが早口で言う。第三小隊の他の隊員も動揺している。
「あぁ、そうだった。ウィルに今回の合同訓練の話をしに来たんだった」
ゲルマンディ軍曹はいかんいかんと小声で言うと、咳払いを一回していつもの声のトーンに戻した。
「今回の合同訓練な。相手がΔ4sであることは君たちには伝えていないんだ。あえてな」
「な!なぜですか?!」
ウィルは動揺しつつ、質問を続けた。
「うむ。なぜ、と言われてもな。今まで合同訓練で相手がΔ4sとわかったとき、ちゃんと来た隊はいたか?」
「それは…」
言葉が出なかった。事実、相手がΔ4sとわかった合同訓練に来た隊はないのだ。
「だから、今回からは相手が誰であるかは当日までのお楽しみにする事にしたんだ」
高らかと笑う軍曹に怒りを覚えたウィルは反論しようとするが。
「ここまで来て逃げないよな?」
さっきまで笑っていた軍曹が突然真顔になり、更にはその太い腕に力をいれガッチガチにして見せつけてきた。軍曹直々に釘を刺されてはもう逃げられない。
「…わかりました。やればいいのでしょう!やれば!」
ウィル含め第三小隊は渋々合同訓練を受ける事になった。
この最強の部隊『デルタフォース』と。
進捗ダメです。
ネチネチと続けていますが、引き続きよろしくお願いします。
頑張って面白くします(可能とは言っていない)