第3話
「ふざっけんじゃねぇー!」
ビリビリに破かれた手紙が宙を舞う。
「おいルーク!どうした⁉︎何が書かれてた?」
オウルは慌てる。ルークは怒る。
「何度も何度も!俺は戻らねぇって言ってんだろ!」
戻らないという言葉に内容をなんとなく把握したオウルが苦笑する。
「そりゃ、オマエさん程の実力者は捨て難いだろうよ」
この手紙はルークが前に勤めていた職場からのルークの復帰を求む手紙で、今日の手紙で丁度10通目になる。
ルークは前の職場でなかなか優秀な成績を残しており、信頼も厚かった。そんなルークはある日を境に姿を消した。ルークの親友だった人はあらゆる手を使い今のルークの仕事や住所を調べ、こうして手紙を出している。
それをルークは。
「何回も何回も何回も何回も!懲りねぇなこいつは!」
細かく破かれた手紙は地面でルークに踏み潰されていた。
いつもの事なのでオウルはルークを素通りして先に事務所に入って行った。
〜アルティーナ某所〜
「ニックさん、なーにしてんスか?」
明るい柄のシャツを着て、黒いサングラスを掛けている高身長のスキンヘッドの男は後ろから声をかけた。
「あぁ、ハルトマン。これね、手紙だよ」
童顔なくせに一丁前にあご髭を生やしたニックと呼ばれた男はスキンヘッドのハルトマンの方へくるりとイスを回転してみせた。
「ほほぉう、手紙…。女っスか?」
ニヤつきながらニックにコーヒーを渡すハルトマン。
「僕には手紙を出す女性なんていないよ」
ありがと、とコーヒーを受け取ったニックは軽く笑う。
「では、誰への手紙なんスか?」
ハルトマンの疑問にニックは答える。
「これは、まだハルトマンがここに来る前の話。僕の先輩が急にここを辞めたんだ。先輩でもあり、親友だった。だからショックだったんだ」
ニックはコーヒーを口につけながら話を続けた。
「諦めがつかなかった僕は、調べに調べてその人の住所を知ったんだ。そして手紙を出しては、ここの戻らないかって誘ってるんだけど、いっつも断られてる。これで10回目さ」
苦笑しているニックにハルトマンが問いかける。
「なんでその人はここを辞めちゃったんスか?」
ニックはお手上げのポーズをとった。
「わからないんだ、それが。ある日突然、今はエリカが使ってる机に辞めますって書いた置手紙があって。本当にその日以来ここには来ていないんだ」
「ふぅん…。その人、今はなにしてるんスか?」
「さぁね、路地裏で飢えてんじゃない?」
笑ってるニックをハルトマンは不思議そうに見た。
プロローグのおかげで4話目のはずなのに第3話という表記に(笑)
ややこしくなってますが気にしないで下さい(汗)
更新が遅めです、ゆっくり書いて行く予定なのでよろしくお願いします。