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森のなかまたちよ。  作者: しぶや みつき
13/13

第13話  母からの手紙

 秋子へ

 秋子が、病院から飛び降りたと聞いて、仕事を抜け出して

 駆けつけたけど、間に合わなかった。


 私は秋子に何をしてあげたのか、何もできなかったのね、きっと。


 ママは、お金がない家に生まれ育ったの。

 お金がなくて、食べるものもなくて、苦しかったの。

 でも、仕事をするようになって、お金が手に入るようになってやっと

 幸せになったと思い込んでいたわ。


 秋子にはお金がない苦しみを味あわせたくないから必死で働いたの。

 それで幸せと思っていたの。お金があればなんでもできると、思っていたの。


 秋子の本当の苦しみをわかってあげられなかった。

 秋子のそばにいてあげられなかった。パパもいるはずだったのに

 いつもまにか、帰って来なくなったのも、ママのせいなのに。


 秋子、ごめんね。

 入院ばかりしていたの本当は淋しかったのね。

 看護師さんが、もう少し秋子ちゃんのお見舞い来てください。

 電話あったのに、行ってあげらなくて。

 

 秋子がいてくれたから仕事頑張れたのに…。

 ママも秋子がいなくなって淋しい…。

 後悔しても遅いね。


 秋子のこと、忘れないからね。

 ママより


 雀の子が読んでくれた手紙を聞いて秋子は、「ママ…。ママ…。」声がやっと

出た。秋子は声までバクに奪われていたのだ。

ローラも泣いていた。「私も、思い出したの。私も子供がいたことを。秋子のママの気持ちわかるわ。子供を思う母泣けるわ。」

 秋子は、初めてママの気持ちを知った。もうママも私のことなんて忘れていると思っていたからだ。

 秋子は、人間だった記憶は忘れていたはずなのに、ママのことを思い出した。

忘れられてなかった。たった一人でも秋子が存在していたことを覚えている人が

いてくれたことが嬉しかった。

秋子はローラさんに抱きついた。ママ、ママと泣き続けた。

すると秋子が、ローラさんのように、紫の羽が生えた妖精に変化していった。

雪じいと、大王はその光景をみて驚いた。

「こんなことあるのか!わしゃ長年この森にいるが、初めてみたぞ。」雪じいが

目を丸くした。

「まじか!妖精になるなんてありか!」大王も口を開けて驚いた。


雀の子は、「秋子さんはローラさんと同じみんなの傷を癒す能力を持っていたんですね。驚きですね。」と言った。




秋子はそれから、森のなかまたちを癒す妖精として、ローラさんと働くことに

なった。

雀の子は父上が改心したため、お屋敷にもどり奇跡の茸テラノコを大切に育てて悪用されないように見守り適切に管理しているという。


いつか、また人間の心を取り戻したら

生まれ変われるかもしれない。そう聞いた秋子は、日々仕事をしている。





 

 

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