#2 機体
二話目になります。不定期投稿無きがしますが頑張っていきたいと思います。
独立傭兵を選んだ優理 こと華鴉は初期拠点となる中立都市『アークス』へと降り立つ。
『アークス』の開始地点は中央にある施設のカウンターの前だった。
施設内には様々な窓口があり、中には飲食店もあった・・・が、
「何で人が一人もいないのよ!?」
彼女以外に人がいなかった。いや、プレイヤーがいなかったのほうが正しいか。
それもそうだろう、このゲームは「多人数協力型」のゲーム。チームを組むには
国を選択する方が楽なのだ。なら、独立傭兵の良さとは何だろう?
答えは簡単だ。それは「自由に行動できること」だ。
独立傭兵はこの拠点で依頼を受け、依頼を完遂することで報酬を手に入れる。
それはNPCからの依頼もあれば、プレイヤーからの依頼もある。
それを「自分の意志」で「依頼」を選択し指揮官や国に「縛られる」ことがない・・・
それが『独立傭兵』の良さだ。
といっても彼女は説明書などをよく読まずに、興味本位で選んでしまったのだが・・・。
彼女が予想外のことに驚いている彼女に、NPCの男性が声をかける
男は施設の職員たちと同じ、黒を基本としたスーツを着ていた
「初めまして、貴女が華鴉様ですね。お待ちしておりました。」
「は、初めまして・・・。えっと、貴方は?」
「申し遅れました、私の名前はジーン。ジンとお呼びください。」
「それでジン?何か用かしら。」
「いえ、貴女が11人目の独立傭兵であり、私が案内役なのです。」
「11人目・・・、って少ない!?」
「ええ、ですので我々はとっても暇だったのです・・・。」
「ご愁傷様です・・・、あれ?他の10人はどこいったのよ。」
「さっそく町の外へ依頼を受けに行ってますね。」
「そうよ!私の初期機体は?」
そう、このゲームでは所属時に機体を一機選び、それをカスタマイズしていくことで
自分だけの機体を作るのが醍醐味なのだ。
「ええ、準備しております。」
優理は格納庫へ案内された。そこには10種類のAFが格納されていた。
『AF』・・・この世界における人型機動兵器である。
人型とあるが、四脚や逆関節、タンク脚などの二脚以外の脚部や、武器腕などの
人型から離れる様なパーツも多数ある。
元々『AF』はパーツの組み替えによる汎用性が求められている。
そのため人型から離れることもあるのだ。
「で?この中から選べばいいのかしら?」
「ええ、この中からお好きなものをお選びください。」
優理は10機の中で一番異彩を放つ機体に気づく。
「ジン、こいつは?」
機体カラーは、初期状態の灰色だが、異彩だったのは脚部だった。
その脚部は鳥の足のように関節部分が逆方向に曲がっていたのだ。
「【DH-C28-Raven】です。この機体は重装甲タイプの逆関節脚で、逆関節脚の利点の跳躍力により一撃離脱戦闘に特化した機体です。しかし重装甲タイプでも装甲は最低限しかなく、軽装甲二脚並みの装甲しか持っていません。」
ジンは機体の説明を簡潔にする。
「ジン、私この機体にするわ。」
優理は即答だった。
「【レイヴン】ね、私のキャラクターネームにピッタリじゃない!」
彼女、『華宗優理』いや『華鴉』の愛機との出会いであった。