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勇者誕生

ある世界に勇者を育成する学校があった。

日に日に増大する魔族の勢力。その抑止力となるためだ。

男女問わずに、勇者の需要も増え、今や、勇者という職業は人気ナンバーワンとなるまでだ。

もちろん、勇者とならずとも一般的な職業に就くことも選択できる。

だいたい12,3歳で自分に見切りをつけ安定した職業を選択していくのだ。

勇者という職業は、人気のある反面、危険も伴う。下手をすれば、命を落とすことだってあり得る。

それでも、目指す人が多いのは、世界平和に貢献した証と、活躍が認められれば、莫大な富が国から支給される。

勇者だけに重点を置いて説明しているが、この勇者を育成する学校は一つだけだ。

そして、勇者となれるのは一年に若干名。もちろん、ゼロということもありえる。

何を基準とするかは、その時の試験官によるところが大きい。

基本的には勇者を引退した老害たちが審査をしている。

今と昔では教育方針も違うというのに、なぜ老人たちに審査をさせるのか。

それも、上からのお達しだということだ。仮にも実績を残している者たちだかららしい。

実績を残してるにしては、魔族が跋扈しすぎじゃないですかね?とんだ、ほら吹き野郎だなあいつら。

勇者の育成学校自体には誰でも入れる。 誰が適性があるのかは育成してみないと分からないからな。

ついていけなくなった者は自主退学という形で地元の学校へと戻ることになる。それでは、惨めなのでかじりついてやるわけだ。

もっとも、入学するのに決まった年齢はないが、上限は10歳までには入学しなければ、それ以降に勇者を目指そうとこの学校に入ろうとしても入らせてもらえない。

ついでと言ってはなんだけど、勇者という職業に就くためには、この学校を卒業する他はないのだ。

ちなみに勇者以外で魔族を倒す職業ならどこの学校を出ても就くことはできる。 格闘家だったり、重戦士だったり、アーチャーだったり。

よく聞かれるが魔法というものはない。魔族が使うために存在は認知されているが、人間が使うことは出来ないのだ。

一部には使えるものもいるとかだが、そういう人は優先的に勇者の資格をもらえる。戦う時に有利だからな。

回復はどうしてるのかって、便利なものがあって、ある道具を使うと傷が完全に治るのがある。単なる疲労回復とかも存在する。まあ、さすがに人が死んだのを蘇らせたりするようなのはないけど。


前置きが長くなったな。

俺は、この学校で勇者となるべく、日々鍛錬を積んでいた。

今日は卒業試験だ。

ここで、受からなければ勇者となれずに 地元へ戻り、新たな職業を探すことになる。

卒業試験は16歳で大抵は受ける。14から受けることが出来るが、知識と体の出来上がりの具合で16歳がいいとされている。

模擬試験なんかもちゃんとあるから、自分のレベルなんかも推し量れるのだが……。


「お前、またE判定かよ。何年修行してんだ?」


「うるせえな。俺は本番で本気出すタイプなんだよ」


強気を張って見たものの、俺は最低評価のE判定常連だった。

何かしら、得意なことがあれば、それを活かしてA判定を取ることも可能であるが、俺には何もなかった。

剣も弓も打撃系も体術も。すべて平均以下だった。

俺は、なんで勇者目指してたんだっけ……。


「次!」


「あっ、はい!」


試験官に呼ばれて、慌ててアプリシエイトフィールドと呼ばれる試験場へと入りこむ。

もう、俺で受験者は最後だ。正直誰も俺に期待はしていないだろう。だから、名目上見ているだけに過ぎないかもしれない。

試験は簡単なものだ。初級レベルの魔族を相手取り、自分の得意な攻撃手段を用いて魔族を倒せばいい。

使う攻撃手段は事前に報告したものでなければならない。だから、それ以外を使えば、失格となる。

逆を言えば申告さえしておけば、いくつでも何でも使っていいという話なのだ。

そういくつも使える奴はいないから、大抵一つなんだけどな。

俺も何とか形になる剣を選択した。

形となるだけで実践レベルに使えるかは分からない。

それを試すのもこの試験の一環だ。

危険だと判断した場合は試験官が抑える 形となり。その場合も、失格となる。勇者となり得るだけの力がないということだからな。


「用意はいいか?」


「よろしくお願いします!」


両手で剣を握り、前方へ注意を払う。

目線の先には、檻に入れられた魔族が今かと興奮をしていた。

たとえE判定でも、やれるだけやらないと。送り出してくれた親に申し訳立たない。


「では、始め!」


魔族には様々な種類がいるが、今から相手するのは猛獣型の魔族だ。

知能が低い分、戦略性に乏しいが、何も考えてない分、一発一発の力が強いらしい。

だが、こいつは初級レベルなのでそこまでの攻撃力はないという噂だ。

ホントに大丈夫だろうか……?

魔族は猪突猛進よろしく、突っ込んで来た。

まず、戦闘の鉄則として、相手がどんな攻撃をしてくるか分からない場合、『見』に徹すること。

だから、回避運動に重点を置く。

でも、それではダメージは入らない。

幸い、散々見てきたので向こうの動きは大体分かってきた。

俺は左斜め方向に前転して回避しつつ、 魔族の足を狙って攻撃を入れる。

魔族はそれを無視して、反対側の壁まで突っ込んでいった。

試験官が少しざわついていた。

俺の攻撃力の低さに驚いているのか、あそこで攻撃に移った俺に感心しているのか、後者だと嬉しいかな。

えっと、あれの弱点はなんだったけ……。

向こうの体制が整う前に、情報を整理する。別段難しい相手をしているわけではない。弱い相手だから、いかに早く戦闘を終わらせるかが評価に繋がる。五分で片付けられれば、かなりいいほうらしい。

もっとも、戦闘の経験が浅い俺たちの基準でいったらだが。経験を積めば、最初の一太刀で済むものらしい。

今回の試験でそれができたやつはいないが。出来てたら、そいつは合格だろう。

俺も一発でやれなかったから、あとはどれだけ早くやれるかだな。

壁にぶつかった魔族は目の色を変えて、興奮していた。

先ほどより、スピードが上がり咄嗟に剣でガードをする。

だが、その攻撃力に剣が耐えられず真っ二つに割れ、俺はそのまま吹き飛ばされた。


「ってぇ……」


吹き飛ばされた俺を見て、試験官が顔の色を変えて試験の中止を告げた。

剣も折れたんだ。そりゃそうだよな。

なんにせよ、俺は失格だ。

母さんに何て言おう……。

すでに帰る準備のことを考えていたら、声をかけられた。


「あー、受験番号507番。あとで本部に来なさい」


「? はい、分かりました」


何か呼び出しを受けた。失格者には先に地元へ帰るための手続きをしてくれんのかな。優しいシステムだ。

俺は肩を落として、自室へと帰った。


勇者シリーズ第二弾です。

第二弾とか言ってますが、もう一つの作品とは特に関わりはないです。

基本的にはギャグなので、真面目なものではないので、頭を空っぽにして笑ってもらえると幸いです。

1話は特にギャグはないですけどw

次話からギャグに入っていきます

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