78 ”ckharlyd”
「こちら嘉賀。
日高、応答せよ。
オーバー」
程なくして日高の溜息が聞こえてきた。
相当疲れてるな、こりゃ。
『はいはい、意外と早かったね。
オーバー』
これまた意味深な言葉だ。
だが、こうやって人を迷わすのはあいつの趣味なので、気にしないことにする。
「めんどくさいから、単刀直入に聞くぞ。
佐上について何を知ってる?」
『それだけ言われても、何のことだかさっぱりだよ』
「清水は佐上が離脱した時に、ちょっと用があるとしか言われなかったらしい。
だが、お前は佐上がアジトの方に戻ると予想した。
お前と清水の差は何だ?」
『ああ、そういうことか。
別に大したことじゃないよ。
ああっと、でもこれ口止めされてるんだったな。
まいっか、言っちゃえ。
桂木についての情報を提供してもらってる時に聞いたんだけれど、彼女は牢の中でちょっと変わった病気になっちゃったみたいでね。
自分の知らない人が入ってくる可能性がある場所にあるトイレ、まあ要するに公共のトイレに入れなくなっちゃったらしい。
一体何があったのやら?
桂木にそういうプレイでもさせられたのかな?』
最後の一言は努めて無視する。
「成る程、それでわざわざアジト迄戻ったのか。
…ん? いや、戻って来てないぞ?」
『そう、そこが謎なんだよね。
なかなか戻ってこないから、京ちゃん達といるのかなと思ったけれど、そうじゃないみたいだ。
まあ、可能性として考えられるのは一つ…』
「帰る途中で捕まった」
『だろうね』
その後日高に矢継ぎ早に質問してわかったことは、佐上が捕まったと仮定して、全く情報が出ていないのは、桂木側が情報統制をしているからだと思われること。
それと、佐上に懸賞金が掛けられているので、捕まって直ぐ殺されるのではなく、情報提供者(これは青田である可能性が高い)に金が届いてから殺されるのだということ。
この二つだ。
あくまで、佐上が捕まっているというのは仮定の話しでしかないが、今はその仮定に縋るしかない。
結局やることはあまり変わらないな。
明日、警備隊本部を急襲する。
そのついでに、佐上を救出しなきゃいけなくなっただけだ。
俺はバックパックを背負い直して、暗くなって来た公園を足早に去った。




