77"ly-trlamsivare"
その後の話合いで、カナタの家を暫くの間アジトとして活用することになった。
「うちは無駄に広いですから。
一人じゃ寂しいんで、みんなに来てもらいたいな、なんて」
見た目からの判断だがカナタは中学生くらいだと思っていたので、一人で大きな家に住んでいると聞いた時は少し驚いた。
「あら、カナタちゃん、いいの?
でも…」
「リスクがあるのは分かってますって。
でも、どうせあの家は私一人ですし、それに」
カナタは少し視線を下げた。
「もう、この集まりくらいなんです。
私の大切なものは」
そういえば、この会のメンバーは会での活動以外は何をしているんだろう?
仕事とか、してるんだろうか。
まあ、ニート以外の何者でもない俺が心配することでは無いだろうけれど。
そんなことを考えながら、俺はまた公園の敷地を一人で跨ぐ。
誰も付いてくるわけがなかった。
由紀之は家に帰したし、カナタも家の中を片付けに帰った。
他のやつらは、多分日高が青田を殺したのを直接見た奴らで、声をかけるのすら憚られた。
そんなわけで、俺はまた孤独に用を足しにトイレの中へ入る。
「おい、いるのか?」
返事がない。
そりゃそうか、一般人に見つかったら大騒ぎだ。
日高は上手くやったんだろう。
…日高は青田を殺した。
とてもシンプルな事実だ。
どういうわけか、俺は日高が殺しをしたことをやけにあっさりと受け止めてしまっている。
死体をこの目で直接見たのは初めてだったし、あんなにグニャりと曲がるものなんだということも初めて知った。
それでもやって来たのは嫌悪感ではなく倦怠感。
もう一度日高に会いに行くと俺が言った時には、誰も何も言わずその場を離れていった。
その反応が正常なはずだ。
俺はどうしてしまったんだろう?
…今は他に考えるべき問題がある。
どこかで小鳥が囀っているのを耳にして、俺は思考の渦から抜け出した。
まず最優先するべきは佐上についてだ。
革命はあいつの悲願であり、あいつの願いが成就することが今の俺の願いだ。
どっかでのたれ死なれても困る。
日高だけは、佐上が俺たちの方、要するにアジトへ戻ると予想した。
つまり、佐上が日高達から離れた時点で、日高は日高以外が知りえない何らかの情報を知っている。
その情報が今の佐上の所在に繋がるかどうかはわからないが、今はそれしか手が無い。
けど、どうやって?
取り敢えずバックパックを背負いっぱなしだった肩が痛いので、ベンチに降ろした。
手持ち無沙汰に中身を漁る。
すると何か硬い箱のような物に指先が当たった。
「それがあったか!」
取り出したのは黒い長方形の物体。
トランシーバーだ。




