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スタティオン  作者: quklop
”fautht” 若かりしあの頃の彼女と冷たい鉄格子
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76 ”purletyi”

鈴木と事前に決めておいた合流場所にたどり着く。

鈴木は勿論、清水、エイダ、その肩に座る千梨の姿が見えた。

そこに日高と青田、そして佐上の姿はない。


「どうする? ここで待っているか?」

腕の中の由紀之に問いかける。

由紀之はゆっくりと首を横に振った。

まあ、なんだかんだでカナタとも、なるべく接触を避けている節はあるがちゃんとやれているようだし、あいつらだったら心配は要らないだろう。


「ねえ」

今度は由紀之が俺に問いかける。

「あの人たち、みんなアンタの…友達? なの?」

「まあ、友達? かな」

何故か由紀之が驚いたような表情を作る。

「…アンタに友達? がいたなんて」

「まあ、お前からしたら意外か。

大人になったのだよ、俺は。

お前の知らないところでな」

「なんか、それ、いらっとする」

「そういう話も後でするか。

あ、そうそう、今のところ友達以上の関係は誰とも持っていないから、安心していい」

腹を殴られた。

ちょっとからかい過ぎたか。

割と本気の殺気を感じる。


「ねえ」

暫く口をきいて貰えないと思っていたから、また由紀之から呼びかけられたのは少し意外だった。

「やっぱり、『誰とも』の中には私は含まれるの?

えっと、その、ま、まあ別にそれでも、いいんだけど…」

俺は割りと本気で悩んで、結局ただただ本心を言うことにした。

「ごめん、まだよく、わからない」

「…それでいい」

隣から調子外れな口笛の音が聞こえてきて、そういえば二人きりでは無かったことを思い出した。


由紀之のお披露目会は滞りなく進んだ。

「これがユキノ…!

キョーからよく聞く、けど、本物ぜんぜん違う。

プルエティイ!」

多分プリティーと言っているのだろう。

やはりというべきか、可愛いもの好きのエイダは由紀乃に激しく食いついた。


対する由紀乃は、カナタに対する時ほどはっきりと嫌悪感を出しているわけではないものの、エイダが怖いのか少し引き気味だった。

「こらッ、エイダちゃん、ユキちゃんが怯えてますよ」

掴みかからんばかりの勢いのエイダを、肩の上から千梨が諌める。

すると、悲惨なことばかり起きた後だというのに、皆は自然と口元を綻ばせた。

俺も、笑っとくか。

…………。


「さて、現状を確認したい。

まず、佐上については完全に消息不明か?」

清水の手が挙がる。

「アジトを出てから暫くは私達と一緒に居たんだけれど、急用があるとか言ってどっか行っちゃったわね。

青田君が捕まる一時間くらい前だと思う」

「そうか、それだけじゃどこに向かったのかさっぱりわからんな。

あいつの急用に思い当たる節がある奴、いるか?」

……誰も手を挙げない。

困ったな、これじゃどうしようもない。


いや、待てよ。

日高が何か言っていた気がする。

『今頃は、桂木派の○○氏、ストレスによる奇行か? なんて新聞の見出しが作られてるだろうね』

いや、それじゃない。

もっと先だ。

『どうにもならないよ。

それじゃあね』

今度は行き過ぎ。

『おい、日高。

最後に教えろ、佐上はどうした?』

『…君達と居るはずじゃあなかったっけ?』

それだ。


「おい、清水。

佐上はアジトに戻るとか、俺やカナタに用事があるとか、そんなことを仄めかしてはいなかったか?」

「?

よくわからないけど、そんなかんじはしなかったわ」

「なんか凄い切羽詰まってましたよねぇ」

やっぱりそうか。

なぜ、日高は佐上が俺達の方に向かったと断定できたんだ?

あいつ、何か知ってやがる。


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