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スタティオン  作者: quklop
”fautht” 若かりしあの頃の彼女と冷たい鉄格子
87/120

67 ”iyahay”

無論、由紀乃がかの有名なゆきひろであることはバレていない。

顔バレはやらかしていないので、知りようが無い。

流石にカナタがつけたテレビから、アナウンサーがゆきひろと発音した時には背筋が冷たくなったが。


『ゆきひろ氏は本日の午前11時28分、電光掲示板にて結婚を表明。

披露宴を明日行うとの事ですが…』

アナウンサーの横から、今流行りの毒舌芸人が口を挟む。

『もうね、バカなんじゃないかと。

結婚披露宴?

ただやるだけならどうぞ、勝手にして下さいよ。

んけどね、わざわざ公共の場で、それも無関係な大勢を巻き込んで?

もうね、あれですよ。

バカなんじゃないかと』


当のゆきひろ本人は黙々とチャーハンを口に運んでいた。

由紀乃は美味い物を食べるとつい口元を綻ばせてしまう癖があるが、それをカナタに悟られないようにか、頬の筋肉をピクピクとさせている。

もうテレビに色々言われるのには、慣れ切ってしまっているのだろう。


テレビの中のタレント達は、そもそもゆきひろは実在するのかという、主題と関係がありそうで無い議論を繰り広げる。

声が次第に大きくなり収拾がつかなくなったところでCMが挟み込まれた。

そういえば一つ懸念がある。

「由紀乃、別にここにいるなとは言わないけど、このままここにいるとここの家主一家が帰って来るぞ?

大丈夫か?」

「大丈夫。

床下収納の中に隠れて引きこもるから」

「そういえばあの人達、帰りが遅いっすね。

どこで油売ってるんだろ?」


CMが終わり早速次のニュースが伝えられる。

『速報です。

川峰県素穂市にて…』

「お、なんすかなんすか。

ここがニュースになるなんて珍し…」

『姓名不明住所不明無職の全身青タイツの男が、業務執行妨害罪により逮捕されました。

なお、青タイツの男は『私が芸術だ』などと意味不明な供述を繰り返しており…』

「ああ、これって」

「だな、間違いない」

「何がよ、三文字以内で説明なさい」

俺たちは口を揃えてこう言った。

「「やばい」」

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