46 ”yharlow”
「お前らはここで待っててくれ。
外の様子を見てくる」
「キョー、ヴェキャラブル」
「のんのん。
エイダちゃん。
repeat after me.
be careful.」
「ヴェキャラブル」
「be careful!」
「ヴェキャラブル!」
「……なんかもう、どうでもいいや」
壁に向かってボソボソ呟く佐上を尻目に、俺は慎重に扉を開けて屋根の上に身を乗り出した。
「やあ、京ちゃん。
上手く抜け出せたみたいだね。
ところで、どうしてこの家の屋根には扉なんてものが付いているんだい?」
「…お前の様なやつが入って来た時に、外に脱出するためだな」
屋根の上で、テロリストらしき人物が仁王立ちをしていた。
日高だ。
日高は腰のベルトに拳銃と、煙幕の発生源らしき手榴弾のようなものを差していた。
「あっれ?
驚かないなぁ。
普通自分の家の屋根の上にこんなやつが居座ってたら、もうちょっとリアクションがあって然るべきだと思うんだけど」
「最近驚くべきことしか起こらないからな。
いい加減慣れた」
「それは残念。
ところで、僕がここにいる理由、聞かなくても良いのかい?」
「聞きたくない。
お前の話しは長ったらしいからな」
「それも残念。
じゃ、早速始めさせてもらうよ」
日高はコンコンと屋根の扉をノックする。
「佐上玲子。
聞こえているだろう?
あなたがどうして死刑囚になったのかを、僕は知っている。
全く、飽きれちゃうよね。
というわけで、この政府を僕達は壊そうとしている。
なるべく血は流さない方向性でね。
どうだい?
仲間になってくれると嬉しいんだけれど。
…おっと失礼、自己紹介が遅れていたね。
僕は紅玉の会会長、日高優。
ヒダカでもユーでもスグルでもマサルでも良いけど、君みたいな子には豚野郎とかクズ野郎とか、兎に角野郎付けで呼ばれたいもんだ」




