41 ”buerleyt”
ピンポーン。
二度目のベルが鳴る。
俺は柊の予言については半信半疑だった。
柊自信も嘘のような存在だが、何より柊の言葉には、明確な理由が一切含まれない。
それこそ、ところで少年と脈絡も無く話しかけるようなものだ。
ピンポーン。
三度目のベルが鳴る。
もしかしたら、ただの新聞の集金かもしれない。
お隣さんの飼い犬が、子供を産んだのかもしれない。
だが、もしもの可能性を考えるには、時間が不自然過ぎた。
状況が柊の言葉の裏付けになりつつある。
ピンポーン、ピンポーン。
忙しなく、二度続いた。
ピピピピピピンポーン。
……………。
玄関扉を開けたら、まずアウトだろう。
怪しい人が居ると、警察を呼んだとしてもアウトだ。
あの変装はお遊びレベルでしかなかったんだなと、焦る様子の佐上の顔を見て、今頃思い至る。
まず、先に佐上がバレて殺されるだろう。
下手したら、俺たちも。
だったらどうする?
家の中に引きこもるか?
玄関の方からバリィッという凄まじい音が響いてきたので、その考えは捨てる。
木製じゃなくて、鉄製にしときゃ良かった。
……って、リフォームしなかったのは今の俺じゃなくて、ここの元住人なんだが。
後はもう、窓から逃げるくらいしか手がないようだ。
俺は佐上の耳元に口を寄せる。
「ちょっと静かにしててくれ」
「むぐ…」
佐上を窓の側まで引っ張り、窓の鍵に手をかける。
なるべく音をたてないように気をつけて、窓を横に滑らせ……そして俺は佐上の頭からウィッグをむしり取り、
「!!?」
窓の外に放り投げた。
バババババッ!
銃声が木霊する。
成る程、柊の予言は外れだな。
相手は誘拐ではなく殺しに来ているようだ。




