31 ”thai-tioun”
「隊長ってどんな仕事してんの?
案外退屈だったりする?」
「主に監視カメラの監視だな」
「そりゃ、まあ、お気の毒。
監視してるカメラを監視しなきゃいけないってのも、皮肉なもんだね」
「特に危険も無く収入も良いので、一概に気の毒な仕事とも言えん。
少しくらいならサボっても気づかれんしな」
「ふうん。
じゃあさ、今なんかはどう見ても監視してないけど、これもサボり?」
「いや、今日は週に一度の休日だ」
休みの日は妻の店を手伝い、仕事はほどほどにサボタージュする。
夫の鏡だな。
「休みの日の分の監視カメラの映像とかは、一旦撮りためて違う日に確認すんの?」
「そうだ。
早回しで再生する」
これは……行ける!
「なあ、あのさ、これからちょっとこの店に友達連れて来たいんだけど、そいつ…」
言葉に詰まった。
監視カメラの確認をさせない程の理由…。
何かあるだろうか?
いや、どう考えても、犯罪に結びつくような理由しか思いつかない。
まずいなこれは。
しかし、
「お前の言いたいことはわかった。
俺は明日監視をサボった。
さらに何らかの公的で正当な理由によって、録画データを若干改竄した。
これで良いな?」
そこには、いつもの優しい笑顔があった。
「オッサン…!」
いや、公務員としてはどうかと思うけどな。
やけに聞き分けが良いなとは思ったが、
「そのかわり」
と人差し指と親指をくっつけやがったので、俺は安心してチップを置いて店を出た。
昔から金にはがめついのだ、このオッサンは。




