30 ”ottaou”
俺はあの下っ端を倒した後、取り敢えずカメラに映ってなさそうな場所に佐上を置いて、暫く街を彷徨った。
其の儘歩いていると懐かしい店が、少し記憶とは違う場所に見えた。
ここ、『ブティック・カレイドスコープ』だ。
そういやここの清水の旦那が警察官をやっていたなとふと思い出し、一旦俺一人で訪ねてみることにした。
入ってみると、その旦那が一人で店を切り盛りしていたもんで、俺はつい心配になって聞いてしまった。
「オッサン、ついに、離婚か…!?」
ぱしぃんと頭を叩かれた。
奥さんの方は店に必要なものの買い出しに行っていたらしい。
俺は訪ねた。
「最近どうよ?」
この短く適当で投げやりな質問には、実に多くの意図が含まれている。
そのうち最も重要なものは、仕事に関する愚痴を旦那が吐くことで、旦那はこっちでも警察……じゃなくてカツラ毛ゲイ媚態だっけ? 兎に角それをしているかどうかがわかるかもしれないということだ。
俺は驚いた。
旦那はそのゲイの中でも一番のゲイであろう隊長の座に着任していたのだ。
妻がいるというのに、ゲイだということは、実は清水の奥さんは男の可能性が……なんてことはどうでもいい。
これは縋りつくしかない。
そう思った。




