18 ”matthl”
「やあ、奇遇だね京ちゃん。
今日はちょいと心霊写真を撮りに来たんだ」
「随分似合わねぇのな、メガネ」
カメラを構えたメガネの男、日高優はちらっとメガネを下げてみせた。
「さっき拾ったんだ。
いいでしょ」
「キョー? 誰だこいつ?」
「…随分親しい人みたいですけど」
さて、こいつを一体どう紹介したもんかと考えているうちに、日高が勝手に自己紹介を始めた。
「やあ可愛いお嬢さん方、こんにちは。
僕は日高優。
ヒダカでも、ニチコーでも、マサルでも、ユウでも、ユーでも、ユウイチでも、ターでも、クリストファーでも、アレクサンドロスでも、好きなように呼んでくれていいよ」
「ま、こういう奴だ。 適当にあしらっとけ。
ところで、今回は一体なんだ?」
こいつが自分から話しかけて来る時は、決まって面倒事も同時に押し掛けてくる。
こいつのせいで、犬一匹を探すために町中駆け回る羽目になったのは記憶に新しい。
日高は飄々とした様子で腰に手を当てて、こっちに身を乗り出した。
「言ったでしょ?心霊写真を撮りに来たって。
心霊写真を、ね。
…はははははっ! 聞いて驚け、京ちゃん。
この近くにね、あいつが居るんだよ」
「あいつ?」
「ははっ、オバケさ。
幽霊さ。
処刑されたはずの佐上玲子が、この近くを生きて彷徨っているんだよ!」




