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17 ”jamhixcg
暫く走ってから、俺たち以外の足音が聞こえなくなった事を確認する。
「なんとかなったな」
「…もう、本当にびっくりしました」
裏路地は、外とはまるで別の世界であるかのように静まりかえっていた。
「まあでも、今回の露出であいつらも千梨に慣れただろう。
もう一押し根回ししとけば、普通に外を歩けるようになるんじゃねぇの?」
「意外と計算高いですよね、嘉賀さんって」
その呼ばれ方は、実はあまり好きではない。
「今日から、お前も”嘉賀さん”、な」
「それってどういう…」
かたっ、かたっ。
突然、硬い音が反響して耳に突き刺さる。
後ろか。
これはエイダの足音じゃないな。
あいつのはもっと軽い感じがする。
「人間の認識は曖昧なものさ。
ちょっとジャミングしてやるだけで、人間は幾らでも勘違いを起こす。
そして認識は人間にとって本質にも等しい。
現実を動かしているのは、案外そんなジャミングの術を心得ている奴らなのかもしれないね」
後方から響く懐かしい長台詞に、俺は思わず肩を落としてうんざりと振り返った。




