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スタティオン  作者: quklop
”pluorauhg” ある喫茶店について
3/120

3 ”maneghy”

コーヒー2杯分の小銭をカウンターに置いて、背の高い椅子に座る。

クソ、足が地面に届かねぇ。

改めて自分の身長の低さを思い知らされる。


隣に座るエイダは、優雅に脚を組んで頬杖をついていた。

すらっとしたおみ足が、ワンピースから伸びている。

勿論、爪先から踵までをきちんと地面につけていた。

クソ、エイダの癖に生意気な。

脚揉むぞごるぁ。


それにしても、改めてこう思う。

俺は一体何をしているんだと。

この女を文字通り拾ったのは、大体二年程前、まだ俺が大学生をしていた頃だった。

…あの時の俺は本当にどうかしていた。

いや、現在進行形でどうかしている。

なんで俺がこいつの為に大学をやめて、バイトを梯子して(いた)、家計を切り詰めて、そうまでしてコンプレックスを植え付けられなきゃいけないのか。

全くもって、俺には理解しかねる。

まあ、俺がしていることなのだが。


でも、そんなことを考えているうちに、いつの間にか運ばれていたコーヒーを啜る、エイダの幸せそうな顔を見ていると、なるほどわからなくもないような気がしてくる。

まさか二十にして親(?)心を知ることになるとは。

見た目だけでみると、あっちの方が歳上なんだがな。


シャリン。

金属と金属がこすれ合うような音がした。

「冷めるよ?」

店主が、お代を摘まみながら俺に声をかけた。

ああ、そういえば俺はコーヒーを飲みにきていたんだと思い出す。

どうにも俺は考え事をしだすと、周りどころか自分すらも忘れてしまう癖がある。


「それにしても、あんたも可愛い顔して良くやるわねぇ。

また、殴っちゃったんでしょ?」

殴っちゃったんでしょ? というのは、俺がバイトを辞めた理由に対しての、女店主の推測、及びそれの確認だ。

そういった推測を建てられてしまう程度には、俺は人を殴ってきた。


ある時は、俺の可愛い後輩に寄ってたかって、集団で取って食おうとしたクソ上司どもを殴り、またある時は、誰の口の中に入るともわからない牛丼の中に、日々の鬱憤を込めて痰をぶち込んだクソ同輩を殴り、またまたある時は、ええっとなんだっけな? 兎に角クソ野郎を殴ったりもした。

別に自慢するつもりもないし、誇るつもりもない。

後悔するつもりも懺悔するつもりも謝罪するつもりもないけどな。

しかし、別に殴りたくて殴っているわけではない。

俺だって痛いのはやだし、殴ると俺の手も痛い。


一応毎回、殴る前にはちゃんと話し合いに持ち込んでいるのだ。

俺なりに理屈を考えて、お前のここがこういう風にこういう理由で気に入らないんだけど、と、曲解もされないように、なるべくストレートに伝えてはいるのだ。


なんだがなぁ。

なぜかいつもまともな話し合いにならない。

そんで、結局話し合いで解決するという道は閉ざされてしまうわけだ。

そうなったら、殴るのが一番手っ取り早い。

結果、俺は今回もそんな具合に、バイトを辞めてきてしまったのだった。

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