7 ”konthacktv"
「ま、無いんですけどね、名前」
「ほう」
「加賀さんの知っての通り、私達コンタクトロイドは、製造後適当なスタティオンから適当な世界に投下されて、何らかのシチュエーションを作られ放置されるわけですが…」
「いや、しらねぇよ。
コンタクトロイドなんて単語始めて聞いた。
ま、いいか、んで?」
「んで、まあ、簡単に言ってしまうと、誰ともコンタクトできなかったんですよね。
引かれないクジとでも言いますか?ん、ちょっと違いますか?」
「いや、違わなくは無いんだろうけどさ、その、クジっていう呼び方はやめてくれ」
「へえ、さいですか?
じゃあ、拾われない捨て猫ってことにしておきましょう。
ええ、こっちの方が的確ですね。
我輩、名前無いですし、最終的には保健所につれてかれて、ドロッドロに溶かされかけましたしね。
いえ、溶かされました。
腕以外は」
何かを言おうとしたが、俺はつい口を噤んでしまった。
それはきっと、ほんの少し、たったほんの少しだけれど、こいつの気持ちが想像できてしまったからだ。
こういうやつに上手に言葉をかけられる程、俺は出来た人間じゃない。
エイダもなにやら思案顔で俯いていた。
「そうですね、お察しの通り余りにも成果が上がらなかったので、私は任務を切り上げられ、次のコンタクトロイドにリサイクルされる形となりました。
ですから、名前を付けて下さるような方には、まだ出会ったことが無いんです」
ふう、と、喋り疲れたのかため息を一つ吐いて、名前の無い彼女は彼女用に小さく切り分けた鮭のムニエルにかじりついた。
「うまぁ…」
にへらっとしたその笑顔が、どうにも機械的なものに見えて仕方がなかった。




