6 ”AC-246.53479695f7a8479n#khajatlugha”
「「「いただきます!」」」
そういえば、いただきますだけは、どこで覚えたのかちゃんと言えるらしい。
頭の中で、こんな独り言を呟くのは、一体何回目だろうか?
今回はそれが随分久しぶりな気がして、俺は暫く鼻の奥のほうがツーンとなった。
だが、今日はいつもとは違う。
いただきますが、三人分の声でこの食卓に響いたのだ。
俺の向かいには、机の上に直接、彼女がちょこんと座っていた。
流石に行儀が悪いと咎めることは出来ない。
…頭の中で彼女のことを彼女と呼称して、始めて気がついた。
「そういや、お前、名前なんていうんだ?」
「AC-246.53479695f7a8479……」
「ストップ」
「うい」
「わかった、つまり、名前はまだないってことだな」
「いえ、ですからAC-246.5…」
「ストップ!」
「うい」
「ええっと、名前ってのはな、いや、それもある意味名前なのかもしれんが、例えば加賀京之介とか、佐々木エイダとか、なんならベイブルースとか、そういう記号的ではない…」
「すとっぷ。
冗談で言っただけですって。
いきなり名前というものの概念から説明し始めるとは、なかなかアレな人ですよねぇ加賀さん。
めんどくさがられてフられるタイプです」
「…うっせ」
経験があるだけに、その一言は心に突き刺さった。




