22/120
2 ”haumn”
結論から言うと、家はあった。
ちゃんと元の場所に、今迄と同じように存在していた。
そこまで帰る道中に間違い探しをしたのだが、俺が知っている風景とは、やっぱり何処かが違っていた。
昔バイトをしていたハンバーガー屋が、コンビニに変わっていたり、ここら近辺ではある程度有名だった、野良猫のチケに首輪が巻かれていたり、何か少しでも違うものを見つける度に、あのスタティオンでのことが、現実味を帯びてくる。
視界の中で、母親らしき女性に手を引かれて、小さな女の子が横断歩道を渡った時には、あの釜の中に落ちた女の子が、必死にエイダの足に掴まる光景がフラッシュバックして、俺は一人でその場にうずくまってしまった。
「キョウ?」
ああ、そうだ、帰ってきたんだった。
庭は無いけど、代わりにツタが壁を這っていて、玄関扉の蝶番は錆びついている。
何より、表札に加賀の二文字が彫られているのが決定的だった。
間違いなく俺の家だ。
借り家だけどな。




