1 ”glaths”
何か硬くて細い物が俺の頬を擦る。
くすぐったくて目を開けた。
すると、背の高い雑草の群れが視界に飛び込んできた。
ああそっか、やっぱり夢だったんだな。
きっと、あんまり天気がいいから、どこか適当な草むらで昼寝でもしてしまったのだろう。
そう思い込めたらどれだけ楽になれるのだろうか。
雑草が生えている土地の形は、綺麗な長方形をしていた。
長方形の辺の一つは、見慣れた道に面していて、左右を見回して他の辺を見ると、そこにはある馴染みの深い喫茶店の隣に建っていた建物が、それぞれ建ち並んでいた。
俺が今座っているここは、あの喫茶店があった場所の筈だ。
丁度、ここからちょっと先が、カウンターテーブルで、その奥にはあいつがいて……。
俺はその場で、見えないコーヒーカップから、何かを啜るふりをしてみた。
…………。
暖かい液体が喉を通ることはなかった。
「キョウ……」
「なあ、一つ聞きたいことがあるんだ。
スタティオンだかなんだかに俺を連れて行ったのは、お前の意志か?」
エイダはうつむいた。
「そっか、そうだよな。
わかるわけがないか」
無性に悲しかった。
悲しかったから、家に帰りたくなった。
「……帰ろうぜ、家があれば、だけどな」




