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12 ”fuarle”
「おおおおおあああああああっっっっっ!!!!!」
俺は走った。
クレーンが女の子を離した。
俺は右腕を引いた。
女の子が叫んだ。
右腕を前に突き出した。
エイダが女の子に向かって足を伸ばした。
俺が殴るのと女の子がエイダの足に捕まるのは同時だった。
ガイイィィィイインッッッッ!!
硬質な音をたててガラスが割れた。
ガラスが体のあちこちに突き刺さるのがわかる。
だが、もう、そんなものはどうでもいい。
ガラスが割れて出来た穴の向こうに突っ込む。
女の子が手を滑らせる。
走る。
落ちる。
跳ぶ。
落ちる。
手を伸ばす。
落ちる。
手を伸ばす。
「届けぇ!!」
手を伸ばす。
……………………。
落ち……た。