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10 ”merltv”
これから何が起こるのかを、想像することは出来た。
だが、どうしても確信することは出来なかった。
「おい、これは今、何をしている?」
「貴方の時のように、彼女達は貴方のような優秀な観測者を探し出すための、レーダーの役割を果たしています。
貴方の言うところのクジです。
他にもスタティオンへの案内など、いろいろな機能が備わっているのですが。
優秀な観測者と一口に言っても、それはそれはいろいろな方を集めなくてはなりません。
その幾度必要な人材を集めるために、適材適所といった形でクジを作るのですが、彼女達を構成する生体金属はとても貴重な物質で、使い回さずに運用するのは不可能です。
ですから、このように役目を終えたクジは…」
ガラスの向こうからは、かたりとも音がしなかった。
まるでガラスは、映像を映し出しているかのようだ。
エイダの隣の女の子のクレーンが、釜の上で止まる。
その時、俺は見てしまった。
女の子の口が動いたのだ。
音は届いていないけれど、その言葉は確かに視覚で受け取った。
た、す、け、て。
映像が現実と繋がった。
「再利用するために、溶かし……おや?」