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9 ”korle”
高野が突然足を止める。
「そしてここが、彼女達が生まれる場所です。
いやぁ、これを丸ごと持ち出すのは、苦労しましたよ」
そういって、高野は何の変哲も無い壁のタイルを押した。
一箇所を押すと、すぐに指を離してまた違うタイルを押す。
まるで暗証番号を打ち込むかのようだ。
ピピッ。
という電子音の後に。
ずずずずず。
という地鳴りのような音がして、タイル張りの壁が、文字通り割れた。
その壁の奥にあったのは、巨大なガラス。
さらにその奥では、
「エイダ!?」
巨大なクレーンのようなものに、エイダが吊り上げられていた。
いや、エイダだけでは無い。
ガコン、という音がして、エイダの隣のクレーンが動き出した。
もちろん、クレーンにはまた別の女の子が吊り上げられていた。
少ししてから、後を追うようにエイダのクレーンも動き出す。
クレーンがレールに沿って向かう先には、巨大な釜のような物があった。