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スタティオン  作者: quklop
”fautht” 若かりしあの頃の彼女と冷たい鉄格子
106/120

86”thteph-3”

〜清水猛〜


バス停のベンチに座って嘉賀を待ち続けている。

ベンチに座っているのは俺だけだ。

市バスが来て停車してしまったので、おれは運転席に向かって首を横に降る。

…行った。


「待ったか?」

予想よりも早く嘉賀はやって来た。

「今来たところだ。

さて、デートのプランを聞こうか」

「ハハッ、オウケイ。

まあまずはこっちに来てくれ」

今一目的がわからないまま嘉賀の後を付いて行く。


一週間の内ほぼ六日間くぐる忌々しいアレの前には、赤髪の女と金髪の女、そしてやけに小さな女がいた。

無駄に周囲を見回して何かを警戒している。

目立って仕方が無い。

赤髪の女が直ぐに俺に気がついた。

「た・け・る・さんっ。

どうぞ此方へお越しください」

まだ連れ回されるのかとウンザリする。

どうもこの赤髪の女は苦手だ。


それ程遠くへ行くわけでも無く、直ぐ近くの人工の森に俺達は足を踏み入れた。

「!?

殺した…のか?」

森に足を踏み入れて直ぐに気がついた。

外からは見えない巧妙な位置に、だらんと四肢を放り出した伊藤と佐藤が置かれていた。

「安心してください。

気絶してるだけっす。

お兄さ…おっと、嘉賀さんって凄いっすね」

「ああ成る程あいつの仕業か。

昔から腕っ節が強かったが、力の加減が上手いのか気絶させるだけで絶対に相手に怪我はさせない。

一体どうなっているんだろうな?」

「ああ、昔からのお知り合いなんでしたっけ?

嘉賀さんの話は是非とも聞きたいところですが、今は昔のことよりも、これからのことを話さなきゃならないっすね」


その後現れた嘉賀の話しを要約すると、俺に施設内の案内をして欲しいらしい。

「…んでまあ、新人研修とかインターンシップとかそんな感じの設定で頼む。

俺はちょっと汗臭そうで嫌だけど、こいつらのうちのどっちかの制服をお借りしてくわけだ。

ん?

待てよ、サイズが合わないな。

………ううん。

やっぱり、俺の体格に合う制服なんてありそうもないな。

どう考えてもこういう仕事に向いてる身体つきじゃあない」


嘉賀の発言に暫く疑問を感じたが、直ぐに解けた。

こいつらは未だに仲違いをしたままらしい。

「お前の兄貴が副隊長をしている。

…そうだな、兄貴のフリをして潜入するなんてのはどうだ?

丁度今日はあいつは非番の予定だが、予定なんてものはこの仕事では有って無いようなものだ。

都合が良いな」

「はあ?

あのクソ兄貴のフリ?

汚物にまみれたあのクソ野郎の制服を着るだけでも…」

「嘉賀。

女性の前であまり汚い事を言うんじゃない」

「あのおクソ兄貴のおフリ?

お汚物におまみれたあのおクソお野郎のお制服を着るだけでも…」

「わかったわかった。

確かにあいつが人間としてどうかしているのは認める。

ああ、とんだ……おクソ野郎だ。

だが、副隊長仕様のあいつの制服を着る限り、流石に新人の設定では無理がある」

「……ああ、わあってるよ。

方法があんまりないのもわかってる」

「だったらさっさとしろ。

時間もあんまりないだろうに」

「タケルさんの言う通りっすよ。

急ぎましょう」

「…そうだな。

気は進まんが、足は進めようじゃないか」

「あ、その台詞なんか日高さんっぽい」


嘉賀は佐藤と伊藤から、ありとあらゆる装備を盗み取っていたらしい。

嘉賀は佐藤として、俺はいつも通りに出勤した。

完全に機械化されているからこそ、警備のツメが甘い。


かなりの遅刻をしているので、周囲に人影は見当たらなかった。

これまた都合が良い。

「更衣室はこっちだ。

ついて来い」

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