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The Chamber Actors  作者: snow
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2

「マリー、すごいのね!」

「へ?」

「2位なんて知らなかった」

「ああー、そうだよね」

「てっきり、リストが2位かと思ってた」

「普通そう思うよね」


 準備を終え、偶然出会ったフェリスと共に学園の正門に向かう。魔術と射撃の訓練評価2位なのは自分ではわかっていたが、人に「2位でしょ?」なんて聞かれたことなくて別に言ってもなかった。やっぱりそんなに意外なのか。そっかそっか、そんなに目立ちませんか。頑張ってたのに…


 でも、魔術はともかく射撃に関しては、ジョンとの差が大きいからな。ジョンはまじでああ見えて断トツである。顔があれじゃなければきっと実戦も出来たのに!哀れ!


「射撃はジョンが断トツだしねー」

「そうだね。射撃してる時はすっごくカッコイイな」

「まじで?」

「うん!」

「うわー、それ本人に言ってあげるべき」

「ええ…迷惑じゃ…」

「いやいやそんなわけないじゃん」

「でも…マリーとジョンって」

「!いや、違うそれは違うから!」

「そうなの…?」

「そうなの!」

「でも、マリーはジョンのこと」

「いや別に…」


 モブ顔仲間ではあるけど。


 フェリスは不思議そうな顔をした後、もしそうなら応援するのにー、と残念そうに言った。いやいや、本当にそういうのじゃないです。むしろ、フェリスに誤解されたらジョンだって可哀そうだ。いや万に一つもフェリスとどうこうなる可能性はないだろうけど…いやあるのか?彼にも希望が?


「フェリスはジョンのこと、結構好みってこと?」

「やっぱり気になる!?」

「いや…(あいつにもたまにはいいことあったっていいかなって…)」

「そっかー、うんうん。私はねえ、嫌いじゃないな」

「へえ!あんまり顔はかっこよくないと思うけど、いいの?」

「私、顔は気にしないから…それに、あっさりしてるけど、結構整ってるじゃない」

「そう?」


 え、そうだっけ?そう思ってジョンの顔を思い出そうとしたけど、いまいちはっきりと思い出せない。まじかよ…すごいな真のモブ顔って。割と一緒に行動したこと多いのに思い出せもしないなんて…特徴なさすぎ…あっ特徴のない顔を想像すれば…


「あ、ジョンだ」

「え?」


 そうこうしているうちに、正門についたらしい。正門にはジョンだけ立っていた。リストとクロムはまだのよう。


「あー、こういう顔だった」

「は?何言ってんのお前」

「ふふふ。ジョンって、よく見ると結構カッコイイなって」

「ハハッ(そこまで言ってないと思う)」

「えっ…!?えっ、どうも…」


 キョドっている。おめでとうジョン!そう思いながら私は視線を廊下の奥に向けた。リストとクロムはまだだろうか。…なんか、黄色い声援が聞こえるし人だかりが見えるけど。まさかね、まさか。


「リスト様ー!お気をつけて!」

「これ、私が作ったんです」

「待ってます!無事に帰ってね!」

「ふふん…みんな、ありがとね」


 おお…ふふんて。ふふんて…お前はいつでもどこでもそういう笑いなの?もうちょっとこう…TPOとかそういうのは無いの?


「クロム様ー!こっち向いて!」

「キャー!クールなとこが素敵」

「待ってます!怪我しないでね!」

「………」


 クールっつーかガン無視じゃないですか。なんかもうちょっとこう…愛想的なものはどこに置き忘れてきたの?


 ぼんやりと見ていると、ようやく2人が正門に辿り着いた。ジョンと親しげに話しているフェリスに気付くと、同時に少し顔をしかめる。意外に気が合っていると私は思います。腹を割って話せば仲良く…は、なれないよね。恋敵ですもの。


「フェリス、ジョンなんかに構うことないよ」

「…ああ」

「?お話してただけじゃない」

「だよなー。リストとクロムこそ、何の用だよ」

「何って…!お前な!」

「…ジョン、調子に乗るなよ…」

「やだもう、どうしたの?喧嘩しないでよ」


 こ、恋敵が、増える瞬間を見た…!確かに言われてみれば、ジョンもめちゃくちゃ不細工ではないし、射撃成績1位っていうステイタスはあるし、なんとか食い込める、か…?圧倒的に華が足りないけどそこには目をつぶれば。うーん、とりあえず、今後の任務生活が不安である。




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