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The Chamber Actors  作者: snow
13/48

4


 すたん、と小気味よい音を立てて飛び去った後ろ姿を見送ってから、俺は隣に顔を向けた。クロムはいつも通りの無表情で、ちらりとこちらに視線をやる。


「クロム、マリーをからかうのはやめろよ」

「…からかっているだけだと思ってるのか?本気で?」

「そりゃそうだろ」

「へえ、なんでだろうな」

「だってそりゃお前…」


 モブ顔のコンプレックスを舐めないで欲しい。しかしそれは口に出さず、俺はただ首を振った。


「とにかく、あいつ昨日、すっげえ疲れてたじゃないか」

「…それは反省した。今日も、やりすぎたな」

「はあ」

「もう少し、ソフトな手段を使うべきだった」

「だからー…もう、やめろって」


 睨みつけるが、クロムは無表情を崩さない。それどころか、少し笑みを浮かべた。


「…問題あるのか?」

「疲れすぎると任務に支障をきたす…っつーか、そもそも可哀想だろ」

「…それだけ?」

「それだけって…十分じゃねーか。お前、結構意地悪いのな。騎士っぽくて紳士的なのかと思ってたんだけど」

「…基本的には紳士的だ」

「そうか?全然そんなことないけど」

「確かに。しくじったな」

「まあ、とにかくあんまからかってやるなよ」

「…ジョン、お前は、マリーとは何もないのか?」

「あー(よく言われるけどそういうのでは)」

「いや、違うな…お前はどう思ってるんだ?」

「え?どうって…」


 モブ仲間だけど。


 そう思いながら答えようとしたが、どういえばモブ仲間っていうこの感じが、このイケメン騎士様に伝わるのか。ちょっと分からずに悩んでしまう。何それどんな感じ?モブの気持ちなんてわかんないけど?って思われそうだな。あと、あんま目立たないゆえの仲間意識、とかちょっと言いたくないな。俺にも矜持はある。ほんの少し。


「う、うーん…ほらちょっと、似てるとこあるんだよ」

「…そうか…まあ、言われてみれば。妹みたいなものか」

「いやー…まあそんなとこ」


 なるほど、妹みたい…いや、姉みたい?どちらか分からない。あ、双子のきょうだいがいたら、あんな感じかもしれない。




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