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退屈な『カエル』

作者: 赤土

 折り紙のカエル。頭は三角でその下にはちょこんと前足があり、後ろ足はばねのようになっていて、その部分を押して放すと、ぴょんと跳ねる。


 彼の机には、一か所カギをかけられる引き出しがあり、そこにはたくさんの折られたカエルが入っていた。彼は学校から帰るとすぐに、そのカギを開けて手のひらいっぱいにカエルを取り出し、床に広げる。ある時はどのカエルが一番跳ぶのかカエル同士でトーナメント戦をしてみたり、一体一体の跳ぶ距離を測って記録更新するか試したり、またある時はどう折ったらよく跳ぶのか研究したりしていた。そうして、母親から夕飯の時間と呼び出されるまでカエルと遊び、床に散らばったカエルたちをまた手のひらいっぱいに収め、引き出しに戻してカギをかけるのだった。


 いつの日か彼は、家に帰ってくるのが遅くなり、カギのついた引き出しが開くことはなくなっていた。彼が食卓でする話も、学校行事の話題から友達の話題へ。クラス替えで友達になった子の家で毎日遊んでいるようだった。


 それが続いていたある日のこと、帰る時間が急に元通りになった。次の日も、また次の日も。母親が心配して声をかけたが、何も答えずに部屋に戻った。部屋に戻ると、何もせずにベッドに飛び込み、そのまま動かないのだった。次の日も、また次の日も。

 それが一週間ほど続いた。彼がふと机を見ると、カギが刺さったままの引き出しが目にはいった。何が入っているのか思い出せず、彼が引き出しを開けると、そこにはたくさんのカエルが入っていた。その中で彼の目を引いたのは、カエルの中で一番上にある、王冠の描かれたカエル。彼は、それを手に取って置いた。そして、後ろ足のばねの部分を押して、放す。カエルは少しだけ跳んだ。それでも昔の、王冠をもつカエルの跳ぶ距離ではなかった。彼は何度も押して放した。何度も、何度も。昔やっていたよく跳ぶようになる方法や、跳びが悪くなったカエルに施していたメンテナンスも何もせずに、何度も、何度も。



 パソコンさんが修理から帰ってきたので、記念に投稿。この短編もそうですが、書く際に頂いたお題をそのままタイトルにしてあります。即興の感があってアレですが。


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